目次
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新編弘前市史 資料編1(考古編)
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第3章 古代
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第3節 飛鳥・奈良・平安時代
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3.古代の生産活動と生活用具
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(3)土器生産
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〈1〉津軽地方の土師器と擦文土器
-古代前期Ⅱ期(8世紀代)-
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8世紀前半代のものは、坏・高坏・長胴甕・球胴甕・甑で構成される。坏は丸底を主体とするが、一部平底化したものも現れ、体部の段は不明瞭、あるいは沈線化する。高坏は脚部が短くなり、外面に多条沈線、あるいは段状沈線が施されるものもある。この沈線や段状沈線は、甕の口縁部に用いられるものが多い。調整技法は、ヘラケズリ・ハケメ・ヘラミガキで、最終段階のヘラミガキは前代と比較してやや丁寧さを欠く。
図34 7・8世紀の土師器高台付坏、同坏
図39 7・8世紀の土師器小型甕・同長胴甕・同球胴甕
図40 7・8世紀の土師器小型甕・同長胴甕
8世紀後半では器種構成に変化が生じ、高坏が欠落する。また坏の平底化や小型化、須恵器の供給量も一部ではあるが増加することも本時期の特徴の一つである。末葉では、ロクロ使用土師器が出現する。坏ではロクロ未使用のものと、回転糸切り底のものが共伴する。また、甕では前代の流れをくむ手法のものと、ロクロやタタキの用いられたものが共伴する。