-古代後期Ⅱ期(9世紀後葉~10世紀前葉)-

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 器種は、黒色処理と無調整の坏・小型甕・長胴甕を主体とするが、9世紀後半に北陸及び出羽で多用される堝(なべ)が普及する。この堝は10世紀中葉までは連続するが、使用頻度は9世紀後半・10世紀初頭が高い。甕類や堝は10世紀以後、ロクロ使用頻度が低下し、ケズリ・ナデが主流となる。城柵設置地域とは、やや様相を異にし始める。

図46 9・10世紀の土師器堝(1)


図47 9・10世紀の土師器堝(2)

 10世紀前葉には五所川原窯のうち、持子沢系の窯群が開窯され須恵器生産が本格的に開始され、集落への須恵器供給量が飛躍的に増加する。器種は坏・小型鉢・長頸壺・短頸壺・甕である。一方、擦文土器は散発的に出土するにすぎない。

図42 9・10世紀の土師器長胴甕


図43 9・10世紀の土師器小型甕

 なお、10世紀前葉には十和田湖を噴出源とする十和田a降下火山灰が下北・津軽両半島を除く県内各地を覆う。また、10世紀中葉(10世紀第Ⅱ四半期か)には、朝鮮半島の白頭山火山を噴出源とする苫小牧降下火山灰(白頭山火山灰)が県下全域を覆う。