-古代後期Ⅲ期(10世紀中葉~10世紀後葉)-

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 この時期の土師器の器種は前代(古代後期Ⅱ期)と同様、黒色処理と無調整の坏・小型甕・長胴甕を主体とするが堝が欠落し、皿や耳皿が一定量使用される。さらに把手付土器も徐々に散見するようになり、内面黒色処理壺(甕)も出現する。なお、この甕類の黒色処理法は東北南部以南には存在せず、擦文土器に特徴的に使用される技法であり、その関係が注目される。また、各器種の特徴としては黒色処理坏が大きく減少し、ほとんどが無調整坏となる。

図38 平安時代(10世紀)の土師器耳皿

 さらに甕類においては小型のものにはロクロ使用が残るものの、大型のものではほとんどがケズリ、ナデ技法が用いられる。
 一方、須恵器では10世紀中葉に前田野目系窯が本格的に操業され、多量の須恵器が各集落に供給される。しかし10世紀後葉では小物が欠落し、壺・甕・小鉢のみとなる。
 また、この時期に擦文土器が徐々に散見するようになり、北海道との関係が深くなりはじめる。