第3節 中世・近世の住居と集落

400 ~ 400 / 649ページ
 12~18世紀までの遺跡調査による住居は、掘立柱建物跡と竪穴建物跡が基本である。住居機能以外の各種機能及び階層的な様相が見られるようになるのもこの時期であり、年代の経過にしたがってどのような変遷をたどるのか記述してみよう。
 掘立柱建物跡の初源は縄文時代にも見られるが、明確に確認できるのは古代に入ってであり(10世紀前後)、特に11世紀以降は数が激増する。現在把握できる中世の構造物としては、中崎館の掘立柱建物跡が最も古いとされている。
 表1から、青森県内における中世・近世遺跡の建物跡検出事例を見ると表2のようになり、高橋與右衛門の整理を参考にすると、建物跡の発見される遺跡・建物跡の種類・時期的な変遷・機能や地域的差異は以下のようになる*36
表2 青森県内掘立柱建物跡・竪穴建物跡検出遺跡一覧
No.遺跡名所在地主体世紀遺構名備考
1琴湖岳遺跡市浦村14,15掘立・竪穴屋敷
2二ツ沼遺跡市浦村14,15竪穴集落
3檀林寺跡市浦村14,15掘立寺院?
4伝山王坊跡市浦村14,15礎石寺院
7中里城跡中里町15掘立・竪穴?城館
9蓬田大館遺跡蓬田村12,15竪穴城館
10尻八館跡青森市14,15掘立・竪穴城館
12朝日山遺跡青森市15掘立屋敷
14種里城跡鰺ヶ沢町15,16掘立・竪穴城館
25源常平遺跡浪岡町13,16掘立・竪穴城館
26浪岡城跡浪岡町12,15,16掘立・竪穴城館
27高館遺跡黒石市12竪穴集落
28板留(2)遺跡黒石市13,14竪穴集落
31大光寺新城跡平賀町13,15,16掘立・竪穴城館
33富山遺跡平賀町15竪穴集落
35唐牛城(1)跡大鰐町15,16掘立・竪穴城館
49浜通遺跡東通村17掘立・竪穴集落
51切田前谷地遺跡十和田市15,16掘立城館
55根城跡八戸市16,17掘立・竪穴城館
56七戸城跡七戸町16掘立・竪穴城館
57矢館跡七戸町16掘立・竪穴城館
60堀越城跡弘前市16掘立・竪穴城館
61中崎館跡弘前市12掘立・竪穴城館
62独狐遺跡弘前市13,14,15掘立集落?
63荼毘館跡弘前市13,14,15掘立城館
64境関館跡弘前市15掘立・竪穴城館
65野脇遺跡弘前市17,18掘立・竪穴屋敷