目次
/
新編弘前市史 資料編1(考古編)
/
第4章 中世・近世
/
第5節 陶磁器類
2.13世紀の様相
410 ~ 411 / 649ページ
鎌倉幕府成立により、13世紀になって、日本海側の製品とともに東海地方の製品が数多く搬入された状況が認められる。七戸町から出土している常滑三筋壺(図6-1)・同大甕(図5-2)などはその重要な資料であり、浪岡町出土瀬戸瓶子・珠洲四耳壺(図6-2)、田舎館村出土珠洲系四耳壺(図7-1)、鰺ヶ沢町種里周辺出土珠洲経容器(図7-2)、弘前市荼毘館出土渥美甕などは主に宗教容器として搬入されているところに特色がある。これらの資料の一部は12世紀後半まで上る年代観を有している。また、尻八館出土の青磁浮牡丹文香炉は中国龍泉窯青磁の逸品であり、伝世的な製品と考えられる資料である。破片としては浪岡城跡や根城跡、境関館跡、大光寺城跡から瀬戸瓶子や青磁鎬蓮弁文碗・梅瓶、白磁口禿碗・皿などが出土していることから、ほぼ鎌倉での陶磁器組成と類似する状況を呈する。
2七戸町出土常滑壺(個人蔵)
図6 陶磁器写真・実測図(2)
1七戸町出土常滑四耳壺(七戸町教育委員会蔵)
2浪岡町出土珠洲四耳壺(個人蔵)
図7 陶磁器写真・実測図(3)
1田舎館村出土珠洲系四耳壺(田舎館村歴史民俗資料館蔵)
2鯵ヶ沢町出土珠洲経容器(個人蔵)