16世紀の代表的な遺跡としては、浪岡町浪岡城跡、八戸市根城跡、北海道上ノ国町勝山館があり、ほぼこの三遺跡から出土する陶磁器によって16世紀における搬入陶磁器について理解することができるであろう。
浪岡城跡はその継続年代が長いものの、16世紀の資料が青森県内で最も多く出土している。その中の中国製品を見ると、青磁は碗の外面文様である蓮弁文が線描になる例(図11-2・3)と無文(図11-1・5)さらに内面に人物画を彫りこむものや(図11-4)陽刻文を施す例(図11-5)がある。皿は各種存在する物の稜花皿(図11-8)や小型の内湾形のもの(図11-7)がある。青磁の小鉢(図11-9)は珍品である。白磁は尻八館でも出土している内湾形の小皿(図11-10・11)に代わって、硬質で口縁が端反(はぞり)する皿(図11-12・13)が量的に圧倒している。小杯についても図11-15の八角型から図11-16に代わるようである。なお、輪花状の形態を示す皿(図11-14)もある。染付は、16世紀を代表する陶磁器であり、碗(図12-1~3)、皿(図12-4~9)、大皿(図12-10)、小皿(図12-11)、壺(図12-12・13)、小杯(図12-14)などが存在する。
図11 浪岡城跡出土陶磁器実測図(1) 青磁・白磁
図12 浪岡城跡出土陶磁器実測図(2)