(1)所在地 弘前市大字楢木字牧野129番地
(2)遺跡の立地
岩木山麓を流下し、岩木川に注ぐ前萢川に開析された右岸の台地上にあり、標高約40mを測る。遺跡は現在リンゴ園となっている。
(3)調査の経緯
昭和43年(1968)の県立弘前工業高校郷土研究部による試掘調査の折、柱穴状のピットと縄文時代前期及び中期の円筒土器等が発見された。竪穴住居跡の存在も想定されたため、前述の高校と弘前大学教育学部考古学研究室の合同調査として、昭和44年(1969)4月1日と2日の両日実施された。
(4)遺構・遺物の概要
調査は、柱穴状ピットの周辺を中心に実施したが、竪穴住居跡等の遺構は見られず、またリンゴ樹が植栽されており、調査範囲の拡張は不可能であった。遺物は、調査区(40m2)の各所から出土している。土器は、縄文時代前期の円筒下層b・d1・d2式、中期の円筒上層a・b・c(図27)・d・e式、土製品には、下半身を欠いた板状土偶(図26)・土器片利用の円盤が発見され、石器は石鏃・礫器・石錐・凹石・半円状扁平打製石器などのほか、土師器(平安時代後期11世紀後半~12世紀)の長胴甕・小型甕・高台付甕等の破片、須恵器(長頸壺破片)、羽口・鉄滓も発見されている。
図26 牧野I遺跡出土 板状土偶
図27 牧野Ⅰ遺跡出土遺物(縄文中期)
円筒上層b式土器
※参考文献 福田・古市・三浦「弘前市牧野Ⅰ遺跡発掘調査報告」(弘前大学考古学研究2)昭和58年4月