(1)所在地 弘前市大字楢木字牧野76番地
(2)遺跡の立地
前述の牧野Ⅰ遺跡と同じ台地の北に位置し、西側は前萢川に開析され、急崖を成している。標高約30mを測る。
(3)調査の経緯
遺跡は、昭和53年(1978)11月に土地所有者がビニールハウス建設のため整地した際、多量の遺物が出土し、それを伝え聞いた県立弘前工業高校岡田郁雄教諭の調査を経て、弘前大学教育学部考古学研究室が出土遺物を採集した。発掘調査は既に整地が完了し、ビニールハウス建設工事中のため実施していない。
(4)遺構・遺物の概要
前述のような事情により発掘調査は行われず、したがって遺構は確認していない。採集遺物は、縄文時代晩期終末の大洞A・A’式と、当地方の弥生時代前期に当たる砂沢式土器であり、中でも大洞A’式土器が主体を占めている。器形は、浅鉢形・壺形・台付鉢形・深鉢形などが見られる。なお、精製と半精製・粗製の比率は2対10である。石器は、石鏃・石匙・磨製石斧・石剣・石皿・垂玉のほか、不定形石器がある。土偶(図28)のほか2点が確認され、動物を模した土製品(図28)も2点採集されている。なお、動物形土製品は、犬と飛行中のムササビを表すのであろうか。土器以外の遺物は当時土地所有者が保管していた。
図28 牧野Ⅱ遺跡出土遺物
動物形土製品(縄文晩期)
土偶(縄文晩期)
動物形土製品(縄文晩期)
※参考文献
1)弘前大学教育学部考古学研究室「牧野Ⅱ遺跡出土遺物について(1)」(弘前大学考古学研究1)1981年10月
2)岡田康博「牧野Ⅱ遺跡出土遺物について(2)-土偶-」(弘前大学考古学研究2)1983年4月