1.中野遺跡

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(遺跡番号 未登録)(図32~34)
(1)所在地 弘前市中野四丁目
(2)遺跡の立地
 平川の支流大和沢川に開析された段丘上に立地している。なお、本遺跡と時期的に重複する近接した遺跡に蕨手刀が出土した門外遺跡(未登録)がある。
(3)遺物発見の経緯
 井上健造により、リンゴ園及び蔬菜畑から耕作中に発見されたものである。現在は、一部を弘前市教育委員会に寄贈し、一部は鰺ヶ沢町教育委員会が所蔵している。
(4)遺構・遺物の概要
 出土遺物はすべて土師器で、坏6点、片口土器1点、甕12点の総数19点である。いずれも、正規な発掘調査によるものではなく、耕作中の偶然の発見であるため遺物間の共伴関係は明らかではない。遺物は、奈良時代のものであり、坏の一部や片口土器等は8世紀前葉期であるが、ほかは8世紀中葉~後葉に属する。坏は、いずれもロクロ非使用のもので、口頸部は、有段のものと無段のものがある。内外面には、全体的にヘラミガキ調整が施されている。また、甕類はすべて頸部有段であり、一部には口縁部に1条から2条の沈線が巡るものもある。外面の調整は、ハケメ調整後にヘラミガキの再調整を施しているのがほとんどである。なお、片口土器は、北海道続縄文文化とのかかわりが深いもので、7世紀から8世紀前葉期まで残る特徴的な器種である。本県においては、この時期の片口土器としては、これまでのところ本例が唯一のものである。
※参考文献 成田誠治・鈴木克彦ほか「青森県の土師器集成Ⅰ」(考古風土記 第2号)1977年4月

図32 中野遺跡出土土器


図33 中野遺跡出土土師器(1)


図34 中野遺跡出土土師器(2)