(1)立地と遺構の現状

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 坂本館跡は、弘前市館後字新田、館後集落の東方二〇〇メートルに位置し、割山南西山麓の舌状台地先端を利用した比較的規模の大きな城館である。東に古館、西に新館の二つの館からなり、古館は南北三つの曲輪から構成される。古館の東及び新館との間は自然の沢で、現在は水田となっており、新館の西には岩木山に流れを発する蔵助沢川が谷を刻んで流れている。周囲の水田との比高差は約一〇メートルある。現在、館跡は大部分がリンゴ園として利用されており、そのため段築があっても、城館の遺構なのか、リンゴ園を造るために整地した平場なのか、判断が難しい。館のある場所は東目屋盆地の東の入口で、すぐ南を旧目屋街道が通る要衝の地に位置する。しかも東目屋盆地で、最大クラスの規模の大きな館であるにもかかわらず、館主の名が伝えられていない。これは坂本館の性格を考える際の大きな問題である。