(二)農民の住居
市内で藩政期の農民住宅を探すことは、非常に困難であった。結局、市の指定文化財である「石戸谷家住宅」と国指定名勝の瑞楽園にある「旧対馬家住宅」とを挙げることとした。
ここに取り上げたものは、規模の大きなものであり、当時の一般農民の住居とは言えないものであろう。
○石戸谷家住宅 浜の町東二丁目--市指定文化財
「ニワ」から「ウマヤ」「イナベヤ」と広い土間部分を取り、「ダイドコ」「居間」「コベヤ」あたりまでが「農民」の住居である。これに「ゲンカン」「ワキベヤ」が付き、「チャノマ」「ヘヤ」があり、さらに「コザシキ」「ナカザシキ」「おくざしき」と続き、「エン」を置いている。
農民住居に書院住居が取り次いだ形であり、庄屋クラスの住居によく見られるものである。
図31 石戸谷家住宅平面図(弘前市教育委員会蔵原図より)
図32 石戸谷家住宅立面図・断面図(弘前市教育委員会蔵原図より)
○旧対馬家住宅 宮館
瑞楽園に建つ住居であり、先の石戸谷家住宅によく似た構成を示している。
図33 旧対馬家住宅平面図
(弘前市教育委員会蔵原図より)
図34 旧対馬家住宅立面図
(弘前市教育委員会蔵原図より)