三間五層の塔で、総高は三一・二メートルである。屋根は宝形造銅板葺で、軒は二軒繁垂木とし、組物は和様の三手先である。中備は初層が蟇股、二層が蓑束、三、四、五層は間斗束として変化を付け、窓についても、初層正面を連子窓として他の面では円形の板連子窓とし、二、三層には格狭間型の窓、四、五層では矩形の板連子窓としている。心柱は角柱で初層の天井裏までで止められており、初層には大日如来が安置されている。非常に安定感に富んだ塔である。
平成三年(一九九一)の台風一九号によって甚大な被害を受けたために、本格的な解体修理工事をすることとなり、「寛文四年」と記された貫が初層から発見されて、これまでの歴史が明らかにされたものである。
図11 最勝院五重塔平面図
(『重要文化財 最勝院五重塔保存修理工事報告書』より転載)
図12 最勝院五重塔立面図・断面図
(『重要文化財 最勝院五重塔保存修理工事報告書』より転載)