土台に八角柱を内転びに立て、地覆長押、内法貫、内法長押と組んで実肘木を置いて、一軒の扇垂木を受けている。屋根は八角宝形造であるが、下屋を一辺ごとに段差を付けているのは、柱を内転びにして八角錘形にしているのと同様に、栄螺の形を意識したものであろう。内部では一重の斜路が廻って上層に達し、上層からは直階段で下りるようになっている。
当時は、このような栄螺堂は各地に建てられたようであるが、「見せ物」の要素が強く現れていて、「面白い」建築として好まれた傾向があったのであろう。
図16 蘭庭院栄螺堂立面図・平面図
(弘前市教育委員会蔵原図より)