内外陣に分かれた五間堂であり、内陣に厨子が納められていたが、近年、後方に新しい本殿が造られて、この建物は拝殿として使用されている。野面石に角柱を立て、足固貫、切目長押、内法貫、内法長押と組んで舟肘木を置いている。軒は二軒の疎垂木として木舞を打っている。四方に切目縁が回るが高欄は無い。正面中央に両開桟唐戸を吊り、脇間と端間および両側面の前二間を蔀戸とし、右側面では第三間を板壁とし第四間に引き込みの板戸を建てるが、ほかは横嵌板壁である。背面は中央に両開板戸を吊るが新しいもので、すべて板壁であったものである。内部は前三間を外陣とし、内外陣境では中央間に両引きの格子戸を建て、両脇間では格子戸を嵌殺しとし、両端間は引違板戸である。大規模で壮大な五間堂ではあるが簡素な建物である。
図30 乳井神社拝殿平面図