解題・説明
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別名を「万物変易誌」という。大光寺組杉館村百姓常治家が天保15年(弘化1年・1844)から明治5年(1872)まで書き綴った日記であり、内容は、農作物の凶作に関する心配、変動する米価や諸品の物価、さらには小百姓の動向などが細かに記されている。さらに、自ら箱館に赴いて戦争のあり様を見聞きするなど、幕末・維新期の世情への旺盛な関心や感想などもうかがい知ることができる。当該期の弘前藩領の農民像を知る上では好個の史料といえよう。なお、第一冊目には冒頭に「親多右衛門天保十五辰年より嘉永二酉年迄」が書き留めたが、虫食いなどで不明の点があるので書き写した旨が記される。この部分はこれ以降に比して簡略であり、書き写しの時に不明な分が省略されている可能性がある。(浪川健治)
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