蓑虫庵句会句蝶

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 [颯声会/土芳公手筆(付箋)]
   水無月七日於蓑虫庵諷声会
  夕たちや網ひく顔のむかふさま    稲負
  百日紅に松みとり也         颯声
  頼れた留守もしはしになしよせて   杜若
  乱け絹とも戻す奥口         景賢
  たまるうへまた降止ぬ雪の暮     時吟
  芦間/\の鳥のうこつき       土芳
  

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  船頭はよこれなからも月に寝て    袖双
  秋ふく風の末の広かり        鴬舌
  盆の間は手習机先返し        五明
  伽に焼るゝ柴のほち/\       非郡
  馬下りのまた落つかぬ旅こゝろ    秀匂
  伏見まはらに恋草の中        几右
  文やりてまてとくらせと沙汰もなし  荷文
  酔た通りのにきやかな声       蝶伽
  
  くらかりに餌ふこ結付軒の下     配力
  山の茂りは雫したゝる        陽和
  順礼のこの筋からも続く也      瓢竹
  ところ/\に虫とりの衆       錦交
  月かけはさわつた雲の暮かゝり    賢
  店こしらへて冷をこたえる      若
  花盛大事の春の雨になり       声
  舟か出てから霞む峯々        負
  

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  鴬に哥友たちの数よみて       芳
  関の地蔵の鐘は聞ゆる        双
  とこもかも時雨の様に成て来     舌
  たはこ火おとす竹縁の下       明
  親方か跡から馬を追放し       伽
  烏くつれる夕くれの森        竹
  吹さうに催す風の一たるみ      和
  窓切てより内の明るさ        文
  
  江戸立の駕籠の者共高鼾       木欣
  麦の粉ねふる古い老僧        力
  手を打てちよろりと止メし売道具   交
  香とひとつに衣配り来        吟
  月代におもふうらみのあらたまり   若
  髪に暑さの残るそき尼        賢
  八朔に里の猟師の古袴        負
  おくり荷の行薮の中筋        声
  

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  尋ぬれは向に山を教られ       双
  人なれてゐる鳥のやさしき      舌
  重ね置御通り毎のかえ畳       竹
  冬あたゝかにけふるくすほり     芳
  年寄れハ休み/\に長はなし     明
  音とく/\の苔清水道        和
  撫子ハ月の時分か盛也        文
  あまり寝かねてあふきつゝける    欣
  
  追々に雲の重るいなひかり      吟
  野は青草に心はつきり        交
  ちとはかり淋しき花を手に持て    賢
  作たやうな雉子の居双ひ       執筆
  
    稲負 三   几右 一
    颯声 三   荷文 一
    杜若 三   蝶伽 二
  

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    景賢 四   配力 二
    時吟 三   陽和 三
    土芳 三   瓢竹 三
    袖双 三   錦交 三
    鴬舌 三   木欣 二
    五明 三   執筆 一
    非群 一
    秀匂 一