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春
伊勢に年籠りして
元朝の出立めてたし宮司
鏡もちうらは筵のもやうかな
射しりにカみえけりうつ薺
ふつくりと茎に水もつ若菜かな
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うくひすや下りて水すふ竹の株
追立る畑主にくし帰る雁
雨はれや片道明てなくひはり
見すかせハ山をはなるゝ雲雀かな
おのゝひて巣には居られし燕の子
何の草の好ともみえぬ胡蝶かな
長谷寺
蝶々の廻廊上る日和かな
親蜂の巣にしかみつく思ひかな
疇ぬりし泥にうこめく鯲かな
芝やくと有かなきかにひろこりぬ
百姓の骨うつかすや春の雨
日あたりに人まつ駕やうす霞
熊野路をめくる頃九十九王子
とておはすに
なかき日やけふ参りしも幾王子
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二月堂に籠りて
水とりや火影に青き僧の顔
炉塞にさひしき猫のすかた哉
見くらふるものいつれなし梅の花
折た枝輪にしてもとる柳かな
草麦の節見え初る日和かな
端山からほつと色つく木の芽哉
喰ものに摘ませらるゝすみれかな
菊ハいつか痩はてゝ蘭の花さかり
似合しき夫婦なりけり桃やなき
はつきりと松に見あてし山さくら
うしろ堂廻りて出たり花さかり
我人に過たり花のよしの山
両の手にあまる程折る躑躅哉
畑一畝いさりまはりて茶つみうた