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　　秋
　秋たつや草に登りてぬける蝉
　蝉もなく高灯籠の柱かな
　うか／＼とさすや燈籠の上の月
　きし／＼と三十日になりぬ高灯籠
　ともかくもおらてみるなり笠の月
　冷る腹なてゝ寝る也蚊帳の中
　　
　朝寒や麻の衣の袖さはり
　捨花をしあて置ん窓のやれ
　秋風や軒にかけたる竿の蚊帳
　秋の日南袖かついても行んもの
　澳中やたゝよふてみる秋の□
　朝きりや晴て山根の冬けなり
　霧雨の日にみへすふてやみにけり
　朝露に冬木となりし桜かな

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　あやかけやかた尻かけて草の露
　蕣にあた花なきそあはれなれ
　この道や萩のさかりにはこひ雨
　折る中に根くちに引ぬ草の花
　　
　　木曽路より帰りて
　寝つ起つ我を待しや籬の柴
　紅葉こめ松をこめけり貴舟山
　蜻蛉やかさなりあふて吹れ行
　　
　雁の声聞つゝ舟の飯うまし
　聞とめぬ砧のはしめ終り哉
　名月や更行輿に絵を習ふ
　　
　　姥捨山に登りて古ことを思ふ
　捨てなき我なれハこそ月こよひ
　唐黍のいとゝたけなる月夜哉
　　播磨の室津浄運寺にて
　室君の念仏きゝたり秋のくれ

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　のら／＼と庵に帰りぬ九月尽