藤堂百韻

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 なけきかんわか領分のほとゝきす     高
 よこにふせうとまゝの夏山        八
 嶺の松大まさかりか見しらせて      高
 苧くそ頭巾て火をそ焚ける        八
 こはいひや一石はかりむしぬらむ     高
 旅人つとふ茶屋のこしかけ        八
 晩の月東西南北とつひかり        八
 瓢箪こしに秋かふらめく         高

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 山からのぬくるもしらぬうつけもの    高
 かきふんとしのぬらりぬら/\      高
 六十にあまりて尻やめさる覧       八
 旦那の事をいふは八十島         高
 伽させてわかまゝなるもゆるすなり    八
 かたしけなしとかしこまりぬる      高
 ゆめの告これハさてとてむくとおき    高
  
 側をさくれと金きれもなし        八
 うその名やふくりハしはと玉計      八
 穴から穴へありのとわたり        八
 小気もの何にたとへんやうやある     八
 よき大将は優にやさしき         高
 御手の内日本国の花も月も        八
 春は関東とりわけて江戸         高

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 道灌かむかしハ遠き一かすみ       八
 北条なともちくりてかいた        高
 民の苦をとふて廻れる執行にて      八
 露にぬれしとかゝむいわあな       高
 にえゆをや秋の空からこほすらん     八
 野分の風に薬罐とふ比          高
 月の為くでしか庇に板もなし       高
  
 夜寒のつゝれ侘てかたしく        八
 ひねらんと虱も寝せすわれもねす     八
 此小せかれハ小坊主にせむ        高
 細腰にさすへきへうもあつてこそ     高
 貧乏神のさはひたるあと         八
 むこけれと所帯しらすを追出し      高
 耳に残るハかのりんき声         八

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 眉目わろかひしけた鼻をいからかし    高
 をのれひとりのもつたむす子か      高
 何故そてらぬ時にも日からかさ      八
 往来の人をよふところてん        八
 汗入てかきそかたひら風涼し       高
 竹簀戸くゝり秋ハ来にけり        八
 仕寄場の番をも月のかてバこそ      高
  
 手柄のほとを名のる雁かね        高
 しら雲に/\にまた白雲に        八
 山はよし野をにけのきて花        高
 すてられて静かすかたのとかならす    八
 長刀折をしみとむない春         八
 槍もちは赤鬼のをくくつわ髭       八
 脈うかゝふもいしやハちかつたり     八

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 又してハ井筒の能をこはしけり      高
 一むらすゝき深き感情          八
 馬車せく豊国のもとの秋         高
 月に消ゆく高麗の雲           八
 しほよしと四十八里に帆を揚て      高
 半ハ陸路御のほりの時          八
 おれか名は金のし付や名乗らむ      高
  
 たんたら筋も世にかくれなし       高
 加賀とのとそちハしらすや染手綱     八
 大杉原は播磨てもすく          高
 赤松といへとも黒き筆の跡        八
 かとあるこゝろなせに円心        高
 よき異見過分しこくと合点して      八
 博奕こかねハ只うかりひよん       高

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 ものもいわす市のかりやのかたすみに   八
 人たけほとに造る大黒          高
 五六尺ゑひすハ絵像よこ物に       八
 糸てつつたる一折の鯛          高
 使者ぶりハかうと口上かうへりぬ     高
 彼青表紙せんしてやのむ         八
 弟子ともか小進金春舞わけて       高
  
 下されにけり二千石つゝ         八
 物めかしほしろにひんの物頭       高
 輿副出る月のゆふくれ          八
 契りにはいむへし秋と夜這星       高
 露の情のつゆもいやなり         八
 甲乙人花にとふとも宿かすな       高
 掟ハ天下一同のはる           八

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 御慶とて軽薄らしきいかひ太刀      高
 わかやくといへハまことかとおもふ    高
 世上みな常盤の松をほしかりて      八
 何木うえてものらぬ島崎         八
 くたけてハみなとをしかる舩頭等     八
 日和え見ぬはかくしてそ居る       高
 冴たるに定て月のはらみ哥        八
  
 酒のかためハ腹に一はい         高
 名を得たる大餅くひも喉につまり     高
 つかいへらしてかろき腰銭        八
 鈴木殿七十五日下りたし         高
 あつたら魚のしほくちにけり       八
 何そかそさかして見ぬる棚のすみ     八
 油断をえせぬ台所人           高

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 朝御膳六ツ半時と御定に         八
 やくにたゝすハ長寝するなり       高
 物ことにはやしわるしハ大事なし     高
 待退屈や花もおそきは          八
 かすみさへつよき余寒におさへられ    八
 寄棒とつてまた残る雪          高
 くたりなき事を山よりかさ高に      八
 分別ふくろは老人にこそ         高
  
 藤堂百韻
  高虎公 五十三句
   道除  四十七句