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松村流松明
甲賀流武術 秘伝
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狼烟之術
狼糞三分一 松葉四分一 藁大
口決曰、右内へ鉄炮之筒薬四分一入へし、煙高し、
松明之法
常の松明には松木を割、細縄にて結心に入て、外は竹なと
にする也、消たる時振立れは、燃上る事早し、
又法
楠木を細に割、油ぬりほし付て細縄にて束へし、是を
五厘松明と云、
又法
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桜の皮を厚くへき、硫黄をせうちうにてとき、二遍程付
松明にする也、雨風強によし、
水松明
明凡五匁 鼠糞一匁 松の肉五分 芥葉一匁 生脳
五匁 塩硝五匁 膽礬五分 麻灰一匁
右細末にして竹筒に込み、堅くして鉄砲の口薬を
入立る、強き雨風に水に入てもきへす、但し音高し、
懐中松明
長さ四五寸に杉板を割、尖に硫黄を少し付て持也、
是斥候松明とて忍に所持して窓より内をみるニ用、
衣松明
衣松明とは芦四五本に木帛をまき、松脂をぬり、干付
て束ぬ、雨にても不消、又一本つゝもともす、夜討なとよし、
投松明
竹を細にわり、松の木にませて束、松明の長は弍尺三尺
にもして、もと細くおもりを付て釣合をよく拵へ、四五
寸斗りの釘を打也、又籠火と云は取籠なとの吉、
鉄にてまるく作る也、委は有図、
籠火蝋燭之法
膽礬八匁 生脳五匁 硫黄三匁 塩硝五分
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右蝋燭のことく堅く尖に口薬を少し入てともす、
水掛ても不消、
楯松明之法
楯板は柳よし、厚八分長弍尺横六寸大方也、
熱馬の事、是は夜討の時馬に松脂を付、敵の中に追
込なり、此時は松明例に付て吉、多少敵による、馬は
小荷駄なるへし、松明は小縄壱筋にも荷鞍に結付
て早くもへ消する事有へし、
巻火箭之事
塩硝五匁 硫黄三匁 鉄砂三匁 桐の灰五匁
右細にして筒にこみ、薬りに火を付け、夜討に敵
の中へ投入、笧焼様図のことし、
巾着火の事
少き香爐に火をいけ、巾着に入持へし、杉原の黒
焼をふのりにて煉り堅め、火を付け板に挟み持也、
火口の事
たは粉の茎黒焼五匁 塩硝一匁
右末にして竹の筒に入もつへし、火の付事めう也、
生滅松明
塩硝廿匁 生脳百匁 硫黄廿五匁 松脂三匁
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右手松明の如く作るへし、
有明燈心
木綿いと太きを塩に浸し、油に入燈すへし、但し
三日程塩にひたしてよし、
玉火の法
生脳六十匁 ひまし十匁皮を去 灰一匁五分
右三色よく調合して其侭堅め、是法籠火水松明、
又法
塩硝少し 硫黄少し中 灰少
右合て漿水に堅む、
水松明之法
明凡 生脳 蓬艾 松脂 塩硝 硫黄 灰
何も等分、但し硫黄少し、是も女のかねに能、酒
少し入て堅む、
狼煙之法
蛇の脱雨露にあたらさると狼の糞と合せ烽に焼へし、
仕込薬の法
やう灰胡椒蚖 [下腹赤きを/ほし粉にする]
右等分に樫木の筒拵へて道具に付て用る、敵の
眼あく事なし、
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流火
上松細く割長く 生脳大 硫黄中
右二色を古酒をもって煉、割松を編み何遍も引て、八九
寸まわりに長さ三尺に結へし、
埋火の方
廿目玉程に団灰をこしらへ、杉原かみによき酒廿遍
引干、火を放し銅筒へ入、筒の蓋打きせ、少き穴三
所にあくる、筒の覆黒皮にてつゝむなり、
火箭之方
塩硝廿匁 硫黄二匁 麻灰四匁
右三いろ合、廻一尺長一尺五寸張筒煉筒松の木
筒吉作り、筒少は長短不定也、箭羽付様仕
掛有り、箭去方に忍し事吉
上火の方
塩硝十匁 麻灰二匁 硫黄一匁 生脳五分
右合様は同前ホウロク火箭焼玉に吉、大なる
火業也、
人睡法
赤鮧の膽を取り、日にほし粉にして火に焼へし、
其侭寝入なり、
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煙に不咽方
ぬれ手拭にて顔を包てかけ通るへし、
又法
大根をしほり克く紙にしめし、日に干てはしめし、
何遍もして懐中し、煙の中へ入とき口の中にて可噛、
風呂薬
米少し塩少しを釜のうちへ入時は、何程焼ても不立、
白文之法
白かみに大豆を細に割み、水にひたし、其汁にて書、
又酒にて書、日に干て通用する、
可出見時は鍋すみをかけ、可見すみなく時は水に
ひたしみる也、
夜中不寝薬
挽茶四匁 蜊陰干四匁 各等分合用ゆ、
海中の水を取事
海中に水すく有之もの也、汲上暫く過て塩
は沉むもの也、其時上水を取用る也、
又取様
食を炊鍋の底に茶碗をふせ米を上へいれ
て焼へし、塩は皆茶碗へ入る也、
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舟に不酔方
白角豆を粉にして梅干の肉によく/\煉り合
せ用ゆへし、
船中より海の底をみる法
あはひのわたを口にふくみ、水中へ吐てみるへし、
何丈有ても見ゆるなり、
火遠近の見分様之事
我手を目の下に当てみるへし、手の内へ火か
くるゝは此方へ来る也、火たん/\と出るは向
へ行火也、
五性を歩行形知る事
一、木性の人は腰より下すわり、腰より上動なり、
一、火性の人は自然とさわかしく歩行ものなり、
一、土性の人は姿重くしとやかにして、真直に
道行也、
一、金性の人は小きさみにしてかたく歩行なり、
一、水性の人は自然と~~~如此なり、
一、何にても高く見へかぬるは、あをのきにはかり
みるへし、
刀脇差乱正焼を鞘の外より知る事
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一、真すく成ところに置らるに、乱れ焼はかた
むくもの也、正焼はかたむかす、
腫物即時にいゆる法
一、あひるの玉子すりつふし、灰をませ土用に
干し、其後使ふなり、
舟に不酔方
一、舟にのらんと思はゝ、クサメ三つしてのるへし、
夜道難遁るゝ事
一、其時に望れは、千眼を塞ぎ内胔を指にて
おしてみるへし、眼中金輪みゆるもの也、
不意の難にあふ時は、金輪みへぬなり、
同怪実性顕す事
怪と思はゝ我左りの袖口よりのそき見る
へし、化ものならは生の形顕るゝなり、
同五町四方人来るを知る法
一、此法ははらはいになり、地に耳を付て居る也、
五町四方の人足ひゝくもの也、臆病ものは
足音地につかす足音乱れ、響き剛人は足
音慥也、
雨降出し長短を知る事
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長 子辰申
一日 丑巳酉
半日 寅午戌
一時 卯未亥
歌に曰
子は長く丑は一日寅は半
卯の一時とかへらてそくる
辻占行時うたに
もゝ辻やよつしかうらのいちの辻うらまさし
られ辻うらの神
臆病人を剛気にする事
雷にて裂たる木を削り、粉にし呑へし、
剛人になるなり、
難馬留様
先馬に立向て五尺程此方より一声かける也、
船難を知る術
一、舟にのらんと思わゝ、うつむきて股よりうし
ろさまに、中に居る人の顔を見るへし、人毎
の顔にきへみゆるもの也、其船決し破船
なり、
呃留様
一、男は左女は右の手のうちに犬といふ字を三
遍書へし、
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耳の中へ虫の入たるを出す法
生のにらの汁を醋と合せ耳へ壱滴入るに、葱出
る事妙なり、
毒を知る術
一、湯茶酒なとに向ひ我影うつらさるは毒有
と知へし、
闇夜に眼みゆる術
極上々吉の水晶にて如 此のもの拵へ、此中
へ水銀を入此所口伝、
男女共に呼出す法
一、すしに無しに十文字そこ立給へひめくるみの神
アヒラウンケンソワカ如此三遍唱ふ、七月十四日門火の炭
にて右歌と性名を書門にはる、
人睡法
一、山ひる陰干しにしてこよりにしてともすか、
又は火にたくへし、
万符守造吉日
丙 午辰 丁酉 庚寅
戌 子寅辰申午 癸 卯酉
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壬 子寅酉
守開眼の文
天上自在諸天歓喜苻神呪娑婆阿太
何れも符守を拵、其後かつしやうして此文を
唱ふへし、
加持の事
ナウマクサンマンダ。ハサラダンセンタ。マカロシヤダソワタヤ。ウ
ンタラタカンマン
此真言は慈救の呪と云て、不動の陀羅尼也、口の
文を唱へ、其次に又此文をとなふへし、
行先の守
天龍琥命勝水喼急如律令
是を何方へ行にしても、是にかけ行へし、
疱瘡の守
此はたれわかさおはまの孫左衛門か子也
ほうそうするものゝ名を初に書て、方々におすへし、
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大病あらはかるくほうそうするなり[此方しんじ/がたし]
盗人用心の咒
そつか
とつ犬 しみん 光明真言三遍となふへし、
中たつ
是をおもての方うらの方にむかひてかくまね
をしておくへし、
男女おこりの符
(呪符)
一切のさいなんをはらふ符
(呪符)
訴訟の時の守
(呪符)
一切ノ口舌ヲ除符
(呪符)
貧人富貴成符
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きねんすへし
万怪敷物有時守
(呪符)
人のうらみ来る時符
(呪符)
盗人の跡にあらわるゝ法
(呪符)
口舌事に立る符
(呪符)
思ふ事叶符
(呪符)
此符枕の下におくべし
女男にゑん遠き守
(呪符)
此符ふたん首にかけよ、男にはやくゑんてくる也、
男女の中をはなれん時符
(呪符)
女男の中をはなれん時符
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(呪符)
此守を常くひにかくれは、男の手をはなれる事奇
妙也、
萬人和合の符
(呪符)
女の乳をいたす符
(呪符)
公事沙汰勝符
(呪符)
生子夜なきの符
(呪符) 此符をはしらにおすへし、
みそ醋となる時ましない
大分あるみそにても、其真中へ炭をさし込て、其
上に喼急如律令此五字をかみに書ておくへし尤奇
めうなり、
わきがの妙薬
蜜陀僧をこにしてぬるへし、
しらくほの妙薬
すゝをこまのあふらにてとき付へし、
馬のはらの病
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(呪符)
此符を草もそへてのますへし、
中風大事
桑葉五十匁湯をかけて干 黒胡麻百匁少しいりて
黒皮を去、此二味粉薬になりとも、又は蜜にてねり、
又は丸薬になり共して、湯か酒にて用ゆ、
やく病のましない
よしのはを門戸にかけおけは、やく病其家にいらす、
食傷の大事
升麻十匁 檳榔棉子一匁 是を粉にしてゆにて用ゆ、
酒ゑひたるましない
梨水 此二字を帋に書、水にて用ゆ
むかてくひたる大事
たてのはをもみしほり、汁を付へし、
脱肛の大事
蛤貝をせんし、其汁にて洗、
痔の大事
蜆をせんし、其汁にて洗、
小便とちたる大事
菅をせんしこし、湯すへし、
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大便同断
青苦葉くろやき三匁 葛の粉一匁 右粉にして酒にて用、
腫物薬
鮒やまのいも等分すりたゝかしはり付る、尤腫物の頭
の所のこしてはる也、右之上を杉原帋にてはる、
耳はれ
大根のしほり汁をこよりにて付る
気を詰はうこきいたむに
南天のはをふくむへし、
しやくり
柿のへやを粉にして用ゆ、せんしても吉、
目の病
大したのはせんし、辰砂少し加へさい/\洗、
おこり
山椒五分 もくさ一匁 合せ水にて常のことくせんし用、
血とめ
杉原紙香いろにあふり付てよし、
やけとの大事
こきしやうゆをぬるへし
補薬
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かちぐり粉にしてちゝにしめし二三度ほし、其後二
三度つゝ湯にて用ゆ、
養生
毎朝胡椒ニ三粒腹して吉、冬用れはふうきに合
す、馬の汗大毒と知へし、
同
寒三十日毎朝水ニ三口つゝ服すれは、一切病生せす、
同歯に甚妙なり、
水にあてられぬ事
田西を醤油にえいり付、よくほして用ゆ、
乳のたる薬
あつきの汁をさい/\用ゆ、
あとはらいたまぬ大事
麻の苧をはら帯にする、
はしり痔妙薬
しゆろの皮を栗燒にして湯にて用、
何にても面の病治
白附子を酒ひたひつくへし、
かほのきぢよくする
かも瓜のさねをこにして丸し、常に用ゆへし、
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渋の付たる時
とうしんをせんしあらふ、又かつをふしをせんし洗、
もちの付たるは
としやうのぬめりにて洗、
歯くろの付たるは
米のすをせんし洗、
血の付たるは
とうしんをつはにてぬらしするへし、
魚鳥の血油付たるは
かふらの汁にてあらふ、
紅染あい染なとにもりあめかゝりたるは
しほゆにて洗、
漆并やにの付たるは
みそ汁をせんし洗、
あい汁の物おとすには
石灰水にて煮れはこと/\く落る、
又は食つふにてもみあらへは大かたおつる、
真虫にさゝれたる時
ほうき木のはを付へし、妙なり、
血留
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青木葉のはを摺、奉書の紙に六七遍ひたし、其紙
引さき付へし、
(呪符) 順にくる尤女の子也、留月
酉戌亥子丑寅卯 子丑寅卯辰巳午 午未申酉戌亥子
木 七年うけ 火 土
辰巳午未申 未申酉戌亥 丑子卯辰巳
丑年むけ
金 辰巳午未申酉 水 午未申酉戌亥子
戌亥子丑寅子 丑子卯辰巳
白玉か何そと人の問ひし時 下略
此歌を恋しき人の門に立三遍唱ふれは、其人自分
出て来る事妙なり、
子をうみとまらんと思ふ大事
鳳仙花実をさんこにのますへし、必うみとまる也、
声出る法
桔梗二匁 乾姜一匁 烏梅 甘草五分ツゝ
右粉にして湯にて用ゆ、
同一方
柯子散
柯子 杏仁 貝母 甘草各一匁
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右粉にし生姜の汁にて腹すへし、
変形術
白瓜仁[冬瓜の/さけなり]五両 白楊皮二両 桃花四両 右の三味
細末し、食後に一ヒつゝ日に三度飲也、面色白から
ん事を思わゝ瓜仁を加ふる也、紅いならんと思ふは桃
花を加ふ、十日にして面て白く五十日にして手足共に
白し、
色黒を白く成す術
一、冬瓜1を竹へらにて皮を去切へぎて、酒一升
五合と水壱升を以て煮たらかし、滓をこし去、又
煮つめてかうとなし、毎夜惣身にぬるなり、
毎月思欲色欲深く厳になす日の事
一、毎月 [朔日 十五日 八日 廿三日 廿一日/廿八日 晦日 私考、廿二日 廿七日 庚申甲子]
右之日急度慎へし、此日交合すれば寿命損
し身に難あり、
女月水始て来る日を知る術
一、女子出生の日より五千四十八日目に経水始て
来る也、
此日数年に積りて十四才なり、難産を平産
にする術は、
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一、出生しかぬるには蓮花一葉に人といふ字を書て
吉也、直に平産する也、
面上の厭黒子を去る術
一、七月七日平時、真桑瓜の葉を七枚取り、真に如例の
南向の堂へ入りて、南に向ひ立て七枚の葉にて
ほくろを拭へし、滅し去也、
役者紅葉の方
一、唐麩のからをニ三日も続きよき天気と思ふ日
を考へ、陰干にしてよく干、朝夕湯を遣ふ、是に
あらいこと成也、油あかを取つやよく成事甚妙也、
鍋釜かなけ出るを留る法
一、新き鍋釜に金け出るは、初に其鍋の内にてわら
を焼灰になし、さまし置て後灰を取り、鍋の
中へ油をぬり、ぬる火にかけて乾し、よくさめたる
時あらいて用也、二度発る事なし、
鍋釜もり即座に留様
一、穴明て水のもるには、白鑞をわかしふさく也、
精進物塩早く出し様
一、塩を出す其水の中へ渋を少し加へて塩を出す
へし、渋なくは柿の葉を入たるよし
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小豆早くたき様
一、あつきを早く煮るには、砂糖を少し入てたくへし、
早くにへるなり、
たこ和らかに煮様
一、早くにるにはせんし茶少し入てたけは、早く和
らかに成也、
飯片にへ仕たる直し様
一、酒を少しうち蓋をし、火気を通すへし、
同こげくさきを直し様
一、なわどうちを洗てめしの上に置、蓋をして暫
く置は其香さる也、
紅染紅抜やう
一、染たる紅ぬきには、早稲藁の灰汁にてもみて洗
へはよく落る也、
胎内の子男女を見方る事
先へ婦人行時、後よりよひかくるに、左の方より見
かへるは男子、右の方より見るは女子となる、又懐妊
の婦人かわやへ行時、夫うしろよりよひかくりに、右
のことくにて知るなり、
子をまふくる法
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一、婦人月水たへて後、一日三日五日目に夜半の
後やとるを男とす、必命長く知さとく、月水
たへて後二日四日六日めにやとるを女とす、六日を過て
はやとらす、
肌をよくする法
一、滑石二匁 白檀一両 小豆五合 右何れも粉にし
て肌にぬりあらへは、身につや出て肌を細かにきち
よく成也、
卵を自由に遣ひ様
玉子を煮ぬき皮をむき、醋に着置暫有て
取出し、菊なんとに切形し、料理に妙也、
暑の時分食物に臭気なき□□
一番椒をその食物に上に置べし臭気なから
しむ
百日百夜寝すして気力おとろへさる法
昼夜寝さる事連日なれは、気力つかれて事を
勤むる事成難し、此時は牡蛎のからを粉にし
てのむへし、気力強く事をつとむるにものうから
す、
火事遠近見知法
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一、夜の火事は火先の物に写る方近くみゆる、又月
夜には白くみゆる、又、民家の焼る煙は黒く厚く
見へ、其余は大方うすく見ゆると知へし、
声かれて出さる時早速出す方
大根のしほり汁に生姜の汁を少し加へかき廻
し呑へし、元の如く出る也、
又方
一、さいかちのとけ五分大根へきて三枚、右二色
煎し呑へし、
思ふ時目を明術
一、男子は左りの手の裏、女は右の手の裏、指にて
大の字を三遍かき、夫をなめ、其後此歌を三
遍よむなり、
打とけてもしもまとろむ事あらは 引おと
ろかせ我枕神 と唱ふへし、思ふ侭に起ら
るゝ事奇妙也、
蕎麦大分食仕様
一、山桃の皮を粉にして呑て後蕎麦を食すへし、
飛食して腹のはりたる時ははりを直す薬也、
声の出る薬法
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黒大豆五合 氷砂糖半斤
右壱升五合入、五合に煎しつめ、其煎し
汁を折々呑也、かれた声ても前日よく呑は
よく日の役に立もの也、
家内の邪気又病気によりて毎夜悪
き夢をみて、通宵寝ることならさるを安
く鎮る術
一、辰砂の煎鏃のことく成を紅の袋に入てもと
とりに掛て寝るへし、悪夢なし、
夫婦中のあしきを相愛する術
一、五月五日に鳴鳩の脚脛骨をとりて紅の袋に入て、
男は左女は右の手に掛へし、常に袂に入置ても
よしと云、
悋気嫉妬深き夫人を妬なからしむる術
一、鶯を煮て食はしむへし、妬をわするゝなり、
同術
一、赤黍と薏苡仁分丸として常に婦人に
呑しむへし、妬ことなし、
親に不孝夫に順さる女を孝順に成術
一、狗の肝をとりて土にませて竈とぬる時はいつと
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孝順になる、
女の外に心あるを顕す術
一、東の方へ行馬の蹄の下の土をとりて、女の衣類
にかくし入へし、其人言葉に顕るゝ也、
人の形をかくして他人に見せさる術
一、青犬か白犬かの膽をとりて通草桂に和して
丸薬として腹する時は、隠形して他人の目に
見へす、
一、八月晦日の夜半に北に向ひ烏鶏子を呑へ
し、形隠るゝ事心の侭なり、
目を覚す術
一、馬の頭の骨を枕とすへし、
小児夜寝かねるを直す術
一、焼尸場の土を枕もとに置へし、
一切腫物を免るゝ術
一、小児毎年六月六日其年の数種皀莢の実
を呑へし、出来ものゝ患なし、又大人ならは
七粒又は廿一粒を呑へし、
心に願ひ求る事忽叶ふ術
一、雄鳥毛を焼て酒の中にしたして飲へし、
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求る事必成就す、
同術
五月五日戌辰の日、猪の頭を以て釜土に祭る時は
心の侭なり、
五穀なきところにてうへさる術
白茅根を取てあらひ咀喰ふへし、又石の上に
て晒し搗て末となし、方寸七つゝ呑へし、
饑事少し、
亀を水に放して沈さる術
一、亀の目へ香油をぬるへし、妙也、
炭火のはせるを止る術
一、塩を少し斗り火の中へ入る時は其火はせる
事なし、
蓮池に用心すへき事
一、桐を近辺にうゆる時はかれる也、
漆にまけぬ術
一、川椒をかみて鼻の上にぬるへし、かふるゝ事なし、
物に驚く馬を驚かさぬ術
一、狼の尾を馬の胸のまへに掛る、驚く事なし、
胡蝶を高く飛す術
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一、胡蝶を取りて翅に唾をぬる時はは高く上る也、
餅のかびさる仕様
一、餅を入る桶のはだへ酒をぬりてのちもちを入、蓋
をよくして納置へし、此ことくすれはいつ迄も
かひわたらす、
終夜寝すして眠さる薬
一、ねむりて堪へかたきには鼠の糞を臍に当て、其上に
紙を張るへし、
怪事有時早く目を明く術
一、いぬる時我いぬる下の方と上の方に空より
猋如此三遍つゝ書ていぬへし、盗賊火炎す
へて怪き事あれは目を覚すなり、
懐妊か懐妊にあらさるを知る法
一、艾を火にかけて醋にひたしかわかし腹すへし、
腹痛めははらむなり、いたまさるは懐妊にあらす、
人の眼を見て心中を知る術
一、人の心をさつするに目をみるへし、上をみるは
其心高ふりたるなり、下をみるは心に感し思ふ
事有也、又眼てんし動くはいわすして心にう
たかひおもんはかる事有、こなたを横さまにみるは
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我に意なき心としるへし、
遠路を歩て足の痛まさる術
一、此時はあしの甲とうらに胡麻の油をぬれははる
る事なし、洗足して後に塩をくちにてかみ、あ
しのうらにぬりて火にてあふるへし、如此すれは
あし痛む事なし、
一、旅する時は梅干を多くたくわへ持へし、
船に酔わぬ法
一、舟にゑう人は船にのる時塩を臍に当、紙にて
其上をはり置へし、
同ゑいたる時秘法
一、付木にていわうをかゞするがよし、
途中風の肌を通さぬ法
一、外へ出て風烈しく風肌に通りて寒る時は、は
なかみをひろけて衣服の間にはさみ入れは風を
肌に通さすして風を凌き、寒気をふせく、
旅中にて□を凌ぐ術
一、旅立の時挽茶持べし、又□もよし
生なからくふべし
足に豆出来ぬ法
原本の画像を見る
一、旅へ行時いわうの一さき懐中すれは、足に豆
出来る事なし、
百歳の老人眼光明になす術
一、芒硝六匁是を水壱盞六分入ときて、法の
ことくの日眼をあらふ一年に至て眼目童子の
ことし、 正月三日 二月八日 三月四日
四月四日 五月五日 六月四日 七月三日
八月朔日 九月十三日 十月十三日 十一月十六日
十二月五日
女を転し男となす術
一、夫人妊を覚る事あらは雄黄壱匁緯袋に
入胎に付置へし、男子うむなり、
毒酒に当り已に死せんとする時の術
一、緑豆の粉にし水に調へ用ゆへし、妙也、
腫物の跡つやよくする法
一、胡粉を白蜜にてねりて付る也、
寒夜手足こゝへぬ法
一、胡椒を二つに割ほうろくてよくいりこかし、紙
にて気のぬけぬ様に包、臍に当て居へし、
剱術修行の人尤妙なり、
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鏡に花鳥画き落さる術
一、雌黄壱匁 軽粉 硼砂各壱分 右粉にして
水にかわにてとき、ゑかきて後火にてやく事半
時斗、さめて後常の如く鏡とくへし、
盃の縁よりこほれぬ法
一、没薬を粉にしふちにぬるへし、
大酒してよはぬ法
一、極上ゝの美濃枝梯へぎて、臍にあててのむへし
色ゝ心得の事
婦人月水の時蓼にんにくをくらへて淋病と
なる、
孕婦生姜を食へは産るゝ子六ツ指と成、
酒に酔ふて臥風にあたれはなまづ生す、
酒後に茶を飲は腎をやふる、
古歌うきことは世にふるほとのならひそと
思ひもしらて何なけくらん
頭痛一代発さる奇法 上総国恵日寺秘方
一、持病に頭痛有て八専節替等に度々おこる者
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なり、至極治し難し、 此方極秘たりといえとも
爰に出す、
大黄[五匁霊弱の人は半減/酒にひたす] 丁子二分 当帰[壱両/酒に浸す]
芍薬同上 川芎一両
右細末にし、一貼にして古茶を煎し、食後に
其茶にて用ゆへし、用ゆる時腹帯強くしめ、
物によりかゝり、しはらく眠居へし、三包目にて
小便赤く通するなり、一代頭痛を治する事
妙也、
下血の妙薬
一、持病に下血有は常々榧の実を食すへし、久
しくして自愈妙也、
簽刺立て口の塞りたるを抜法
一、蠅の頭赤とんほうの頭数等分黒やきにして
糊になしませ付る、とけ深く立て口ふさき却て
うらの方へ近くはうらの方へすい出す也、
錫のくもりを磨法
一、錫くもりたるを磨には毛氈の古きを以てみかく
へし、引めなくいろよくなるなり、
銅のくもりたるを磨法
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一、やくわんちろりすへて銅類をみかくには、和か
なる紙に梅干の肉をつゝみするへし、くもり去
ていろよくなるなり、
針皮肉へ折込て出さるを抜法
一、杏仁二ツ搗爛かし車轂に有腹を取りねり合、
針の立たる上へぬるへし、怱出る、
渡し船に乗おくれぬ方
一、渡し船有所に行掛りて、或は少おそくて舟
出たる跡へ行、或は早くして人数のみつるを待て
急用かく事有時は、渡場へ行かゝり一町も此方
より渡し舟たに見は、指にての賦の字を三つ舟に
目を当書へし、渡し場に至る時舟を出す処へ行
つくもの也、
男女陰虱去法
一、胡枡の粉を水か唾にてときぬる也、一付て去
事妙也、
大に草臥の時保養
一、遠路を歩行して大倦たる時、手巾の類に
て股を難く結たるかよし、扨寝る時足をかゝ
め臥へし、長く仲す事なかれ、
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夏月氷を拵ゆる法
一、銅の器に湯をあくまて泌せ、口をよくつめ
よく水の入らさる様にして、井底へ重りを
付て沈め、半日か一日程置取上る也、寒
中の氷に替る事なし、
旅蚊帳の法
蝦蟇の油木綿糸によく引て宿にて我伏
たる胸の上に一尺斗上まてにつり臥へし、
何程数多く共五間四方は其夜来らす、
脱肛入湯の秘法
一、蕺菜煎し浴する也、脱肛をそろ/\
湯につけ入へし、奇妙/\、
大便の急成を止る法
一、伽羅を一炷程噛へし、いか様に急成をも妙に
留るなり、
真鍮きらに磨法
一、砥の粉を酢にてときみがくへし、
盃の縁より溢れても酒のこほれさる法
一、無名異を盃の縁にぬるへし、酒をとりて
縁より高くなりても、外へ一滴も溢さる秘、
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炭焚て爆ふ留る法
一、泔水に浸し一日余りにして取上け乾し用ゆ、
はせる事なし、
縫針銹さる法
一胡桃売焼て灰にし、其内に入置へし、
遠路歩行草臥さる法
一、長旅をせは毎朝宿を出る時伽羅の油を
あしのうらに塗へし、草臥事なし、
葱蒜食し口の臭を去方
一、胡麻を食へし、又酢を一口呑てよし、
酒をのみ酔さる法
一、栖子仁 麻仁各八匁
右粉にし酒を飲んとするまへに水或さゆにて
用ゆへし、奇妙の法也、此方五臓潤し
心神を養ふ、
食物なしにうえさる法
一、口を閉て舌にて上下の歯を咶てつはを
ためて一日に三百六十度呑込へし、飢事
なき妙術なし、
極寒の節冷さる法
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一、天門冬 白茯苓 各等分
右細末にし、酒又は水にて毎日多く用ゆへし、
犬の齧痛むの法
一、杏仁黒く成程いり水にて付へし、又明
礬を付へし、妙也、
子猫鳴てやかましきを留る法
一、陳皮粉にし猫にぬるへし
犬の子鳴を留る法
一、胡麻の油蜆貝一つ程鼻の孔へ入へし、半
日斗して止也、
鬚抜て再生ぬ法
一、白蜜を抜たる穴へ塗へし、二度はへす、
脇臭治する法
一、元朝自身の小便にて洗へし、則治する也、
声の出さるを出す法
一、大根三切 皀角五分 皮実を去
右水を茶碗に一盃入、半分に煎し用ゆ、
血止メ秘伝
一、白姜蚕を炒りて黄色にし研細末にし
て付へし、血止り立処に癒、
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魚の骨咽に立たるを抜法
一、砂糖水呑て吉、
眉毛生する奇妙方
鉄上生衣 垣上青衣
右二色等分に合せ粉にし、水にて塗へし、
目たゞれ赤きを治する法
一、古銭置塩をのせて焼、其焼たる銭を酢
の中へ入れて取出し、綿を糸にして銭の汁
を目眥へ指へし、忽治する也、
小児乳呑付さるを治する法
一、白丁香四つ粉にし、乳頭にぬる飲すへし、
但し四五歳の児ならは十ヲ斗も乳頭
にぬるへし
疱瘡せさる妙法
一、絲瓜帶肉共三寸斗りに切、右糸にてつ
なき、風の吹く処にかけ置さらし、乾きたる
時細にし、少し斗さゆにて用ゆ、
一切小児の病を除く禁呪
一、小児の頭に朱にて天灸と二字書すへし、
一、小児咳出るには、生姜四十匁常の風呂へ入れ
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置し浴へし、即治する事神の如し、
道にて暑気に当り薬なきに救ふ法
一、朱砂を粉にし水にて少し用ゆ、立処に愈、
夏月旅をせは朱砂を持へし、暑気霍
乱に妙也、
大食の時導引の法
一、食に傷られて腹脹は口を閉息を詰て
目を空へ見張り、息を喉へつめる様にすへし、
如此四五度して後、息を臍下へ引込へし、
山中にて猪野に狼に会さる禁呪
一、朱にて儀唐と云二字書、懐中すへし、
削りたる木本末を知る法
一、蟻を木の真中に置蚑すへし、極めて末の
方へ行なり、
小児雷に驚くを治する法
一、夏月ならは紅の緒にて袋をぬふて、杏仁
七粒皮尖を去 入て身に佩さすへし、驚く
事なし、
湯茶無処にて渇き留る法
一、白砂糖四十匁 白茯苓三十匁 薄荷十匁
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甘草十匁 右共に粉にして煉蜜にて棗
の大に丸し、一丸を口中にふくむへし、千里行
とも渇く事なし、
柑子蜜柑生にて久しくおく法
一、菉豆の中に入置へし、すれ合ぬ様にすへ
し、
干鮭早く煮法
一、藁の灰にてあたゝめなまぬる湯に浸し煮
るへし、
昆布即座にすこんふにする方
一、こんふ丸なから爪の立程に湯煮をし能
くあらい、下しさまに酢を少し指、即す
くなるなり、
玉子の善悪を知る事
一、小き手桶に八分目程水を入れ、卵を浮せ見
るへし、中の損する深きときは沉成れり、
染物茶類一切白衣になす法
一、惣而一切の茶染もの白絹にせん思はゝ、
酒にて煮るへし、白絹になるなり、
まかいつむき拵様
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一、棉子を濃煎し、其湯にてもめんを煮
時は、紬の如く成也、
衣服に油のかゝりたるを去法
一、大根の汁をしほり滑石入て洗ふへし、
似紫染様
一、壱反そめんと思わゝ極上すわう丗匁、明
はん二両半、随分濃く煎し詰て、天気
の能を考へはりて置、はけにて一返引、
其上へいもからのあくをひけは、よき色に
なるなり、
腫物の呪
一、何方にても出来ていたまは、我口を以て
日出東方乍赤乍黄と唱へ、数々指にて
摩すへし、
蚋子にさゝれたる呪
一、蚋子にさゝれたれは、事の外かゆく迷惑
するもの也、此時蓬の葉をもみ、その汁を
ぬり付へし、かゆく痛む事忽治する事
神の如し、
離別の方
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一、桃の枝を三寸に切て姓名を書て土に埋めは、
夫婦共はなるゝなり、好色秘伝書に出、
汗臭を去匂い袋方
一、丁子一両 山椒六十粒
右二味刻絹の袋に入懐中すへし、汗の
臭を去也、
懐妊させる伝
一、しきみ一葉迁両男のつめにて細にくだき、水にて
女に飲すへし、但し一月の内朔日一日なり、
秘術一法
一、ワタノミ十匁
麝香 壱分
ホウロクニテクロクナルホトニイリ
二味共細末ニシノリニテ丸シ、毎月
朔日二目方五分つゝ白湯二て腹ス、
右京都東洞院去家ヨリ千金不伝之雖秘術有
所以受相伝所也、
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蜂にさゝれたるまじない
大小にかゝわらす
石を上下を前へカへス、
即効にほてりさめる事
奇妙也、