城之越遺跡

城之越遺跡
テーマ古代の首長と古墳文化
見どころ・解説 城之越遺跡は木津川上流部の比土・古郡小盆地東縁に位置する、古墳~鎌倉時代にいたる複合遺跡です。平成3年(1991)の三重県埋蔵文化財センターによる発掘調査で、3箇所の井泉(湧水点)から流れ出た水を一つにまとめて北西側の下流に流すしくみの大溝遺構が検出されました。
 3つの井泉の内、南側の2つの井泉から出た水はまず一つの大溝となりますが、合流点には大きな立石がいくつも配され、後世の庭園の造形美に通ずるものとして注目されました。大溝はさらに下流にすすむと、最も北側に位置する井泉から流れ出た大溝とさらに合流し、大溝が一つになる合流点の上手側には、2本の胴木を流れに向かって平行に据え、その間に平石を横方向に置いた階段状遺構が検出されています。
 大溝からは武器形や紡織関係の木製品、土師器が多量に出土していますが、木製品には実用的な農耕具が出土していないこと、土師器の壺類には体部下半に孔を有するものが多く含まれることから、これらの遺物は祭儀に用いられたのちに廃棄されたものと考えられます。こういったことから、大溝周辺では当地を治める首長により、大規模な水に関わる祭儀が継続して行われていたことが想起されます。
所在地
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城之越遺跡 所在地
上野エリア 城之越遺跡
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