甕棺
飯塚市佐與に所在し、庄内川右岸の標高約20~32mの丘陵先端部に立地する。昭和58年度、町道拡幅工事中に甕棺が発見されたことにより、緊急発掘調査が福岡県教育委員会により実施された。
発見された甕棺は、墓穴として掘られた横穴に、ほぼ横位に埋置された状態で検出された。接口式の大型甕棺墓で、弥生時代中期中頃のものである。上甕は口径79cm、器高0.7cm、底径14.3cmを測る鉢形土器で、下甕は口径80.3cm、胴部最大径83cm、器高119.3cm、底径15.5cmを測る甕形土器である。下甕は断面「T」字形の口縁部を有し、口縁部直下には2条、胴部中央よりやや下位に3条の断面三角形の突帯がめぐる。
甕棺からは下甕より貝輪1個体分の破片資料と布片が検出された。貝輪は南海産のゴホウラ製の貝輪で、いわゆる諸岡型といわれるものである。布片は平絹であることが明らかとなり、遺体を包んでいたものと推定され、さらに出土状態から遺体をこの布で包む際に朱が塗布されたと考えられている。
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