72 井手ヶ浦窯跡群

1.11号窯

1.11号窯

2.11号窯出土状況

2.11号窯出土状況

3.13号窯

3.13号窯


 飯塚市鯰田に所在し、遠賀川中流右岸で立岩丘陵北西部にあたる標高30~50mの丘陵斜面に立地する古墳時代における須恵器の窯跡群である。これまで4回(昭和46年度、昭和58・59年度、平成19年度、平成20年度)にわたって福岡県教育委員会や飯塚市教育委員会等によって発掘調査が実施され、6世紀後半~7世紀にかけての須恵器窯13基が確認されている。遠賀川流域における最大規模の須恵器生産地と言える。
 窯は丘陵の斜面を利用しトンネルを掘り抜いた形で、窖窯(あながま)と呼ばれる構造である。11号窯では焼き上がり直後に窯跡の天井が崩落したのか、窯の床面上に須恵器の杯蓋と杯身が合わさった形で75セット確認され、当時の窯詰めの状況が分かる貴重な事例となった。
 井手ヶ浦窯跡群が須恵器を生産していた時期に、周辺では同一丘陵上に寺山古墳・川島古墳群が築造される。また、丘陵下では遠賀川に面して、河川交通に係る水辺の祭祀の場として荒巻遺跡も営まれている。井手ヶ浦窯跡群は須恵器生産を背景に河川交通もからめ、当地域の古墳時代後期の社会構造を明らかにする上で重要な遺跡であるといえる。
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