石室奥壁 装飾
飯塚市川島に所在し、遠賀川中流右岸の立岩丘陵の北西部にあたる標高40mの丘陵上に立地する川島古墳群(円墳13基)を形成する古墳のひとつである。
11号墳は発掘調査を昭和63年度に飯塚市教育委員会が実施している。墳径15m、高さ4mの円墳で、埋葬主体は複室の横穴式石室である。墳丘の東側に幅4.4mと推定される周溝が認められる。石棚を有する玄室の奥壁に壁画が描かれている。壁画の彩色顔料として、黒色と赤色の2色が認められるが、黒色は元来緑~青色であった顔料が変色したものと推定されている。壁画は黒色で人物・円文・三角文などが描かれており、背景に赤色が使用されていると推定される。
玄室は盗掘により撹乱されていたが、前室は盗掘を免れ多くの遺物が出土している。出土遺物は土師器、須恵器、装身具類(耳環・管玉・丸玉・小玉・切子玉・棗玉・空玉)、馬具類(轡・辻金具・金銅製雲珠・貝製飾金具・懸金具・鉸具・鋲留金具・鐙・縁金具)、大刀、鉄鏃・刀子・石製品(紡錘車)等である。築造時期は6世紀末頃と推定される。
平成4年に福岡県指定史跡となり、現在は川島古墳公園の中で整備されている。
→ 遺跡の位置を見る