90 寺山古墳

周溝内 埴輪出土状況

周溝内 埴輪出土状況

1.全景(南上空から)

1.全景(南上空から)


 飯塚市川島に所在し、川島古墳群や井手ヶ浦窯跡群が所在する丘陵の南側から遠賀川に向かって北西に突出した標高約35mの低丘陵上に立地する古墳時代後期の前方後円墳である。昭和57~60年度にかけて4次にわたる発掘調査を飯塚市教育委員会が実施している。
 墳丘の全長68m、後円部径41m、後円部径41m、前方部幅約58mで、盾形に廻る周溝を有することが明らかとなっている。
 埋葬主体部は横穴式石室で、石材採取のため破壊が著しく詳細な構造は不明であるが、玄室については長さ4.2m、幅2.2~2.5m、高さ2.5mと推定される。破壊された石室内に挂甲小札、刀子、鉄鏃などの副葬品がわずかに残っていた。
 埴輪は形象埴輪(人物、馬、騎乗人物、靫、盾)、朝顔形埴輪、円筒埴輪が出土している。埴輪の配列は前方部前面では形象埴輪・朝顔形埴輪・円筒埴輪が墳丘裾部に、その他の地点では周溝内に部分的に集中的に配列されており特異な事例である。
 築造年代は墳丘の形状、石室構造、埴輪などから6世紀後半頃と推定される。
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