忠隈1号墳出土 三角縁神獣鏡・獣形鏡・四葉座金具
飯塚市忠隈に所在し、穂波川流域北部を眼下に望む標高65mの丘陵上に立地する。忠隈古墳群については、1号墳以外は消滅しているため詳細は不明である。そのため忠隈1号墳を単に略して「忠隈古墳」と呼称する場合もある。この忠隈1号墳は、遠賀川上流域における代表的な前期古墳として著名である。
忠隈1号墳は昭和10年代頃から、所在する丘陵上で割石が多く露出していることから注目されていた。昭和30年、鉱害地水道用揚水タンク新設工事に伴う基礎工事の際に竪穴式石室の蓋石が検出され、1枚の蓋石を除去したところ石室内で鏡2面を発見した。そのため緊急調査として、石室のみが調査対象となった。石室は割石小口積みの竪穴式石室で、長さ4.4m、幅0.8m、高さ1.1mを測る。石室床面の粘土床の形から割竹形木棺が置かれていたと推定されている。内部から三角縁波文帯三神三獣鏡1、獣形鏡1、金銅製四葉座金具1、玉類が確認されているが、金銅製四葉座金具のみは出土位置から棺外埋蔵の可能性が考えられる。平成9~11年度においては、旧穂波町教育委員会により墳丘の調査が実施されている。この結果、忠隈1号墳は墳形42m、高さ7.5mを測る大型の円墳であることが判明した。
平成29年度に忠隈1号墳出土品(三角縁波文帯三神三獣鏡、獣形鏡、金銅製四葉座金具)は飯塚市指定有形文化財になっている。
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