旧伊藤伝右衛門邸

名称旧伊藤伝右衛門邸
概要筑豊の炭鉱王とよばれた伊藤伝右衛門の本邸として建てられた近代和風建築である。遠賀川中流域左岸、福岡県飯塚市幸袋本町の旧長崎街道沿いに位置し、明治39年(1906)頃から昭和初期までに増改築を伴い成立した。昭和2年(1927)に焼失した福岡市天神町にあった別邸(通称「銅御殿」)から移築された長屋門が目をひく。
邸宅は主屋、長屋門、表物置、道具蔵、骨董蔵、事務室、書生室、ポンプ小屋で構成される。建物は意匠が細部にわたって上質であり、各部屋の用途や好みに応じて書院造、数寄屋造、洋風意匠を巧みに使い分けるなど、洗練された意匠が随所にみられる。また、増改築の過程において日常的な生活空間を重視している点も特徴的であり、主要な部屋がすべて庭園に面していることがその裏付けとされる。歌人・柳原燁子(白蓮)が伝右衛門の妻として約10年間を過ごしたゆかりの地で、伝右衛門や白蓮に思いをはせる場でもある。平成19年(2007)4月より一般公開開始。
平成23年(2011)9月 国の名勝庭園、令和2年(2020)12月 国の重要文化財(建造物)に指定。
場所幸袋
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