一 市制七〇周年記念事業の一環として編集する。
二 今治市を中心とした地方の歴史と伝統を新しい角度からみつめなおし、先人の残した貴重な資料を収録編集保存し、その活用をはかる。
三 今治市を中心とした地方の歴史と伝統をふまえ、今治市の現実を正しく把握認識し、未来に向って市の発展をめざし、確かな歩みをつづけるための基礎資料としての現代地誌を編集する。
四 市民に親しんでもらえる、わかりやすい、今治市を考えるために役立つ写真集を編集する。
五 未来を指向した今治郷土史を編集する。
いずれの時代の人々も豊かで幸せな家づくり、村づくりを神に祈り、仏に願って必死に生きそして死んでいる。それら先祖が子孫を思い、努力したあかしが集落に、耕地に、河川に、堤防に、溜池に港に、道路に、神社仏閣に、更には数々の文化遺産に、民俗芸能に、日常の生活慣習等あらゆるものに生き続けている。
数千年にわたる先祖の息ぶきの感じられないもの、歴史的存在物でないものは何一つとして存在しない。私達一人一人も歴史的存在である。現在、私達は先祖の築いた歴史を背負って生きている。そして、子や孫に誇れる歴史づくり、子や孫に背負わすよき歴史づくりに努めたいと、未来を指向した願いをもって生きている。
今治郷土史も市民がどう進んでいったらよいか、どんな問題を解決していったらよいかなど、輝かしい明日の指針、糧となるよう編集する。
六 歴史の時代区分は次のようにする。
原始(無土器、縄文、弥生、古墳)、古代(奈良、平安)、中世(鎌倉、室町)、近世(安土桃山、江戸)、近・現代。
七 歴史観について……可能性の歴史観、科学的歴史観をとる。
歴史を動かす力は多元的であるので、歴史を複眼でみたい。なお、経済は歴史を動かす大きな力であるが、個人の意志や努力とか、文化的背景など、いろいろの力が歴史を動かしている。したがって、たった一つの原理で人間社会のことを割り切って説明することはできない。この観点から史的多元論が望ましい。
なお、現代の要求から歴史を裁断することは戒しむべきである。歴史現象はその時代に即して解釈すべきであり、現代の価値基準に照らして過去を批判するのは邪道である。
八 歴史的事実の収集を入念にし、しかも正確で中正を旨とする。
九 現代史を大事にする。現代史をぬきにして歴史は考えられない。歴史は常に現実をふまえた上での過去への問いかけである。人間は必ず自分の過去の経験に照して思考し行動する。
十 歴史と伝統は重視しなければならないが、これにとらわれてはならない。伝統的意識に拘束されては新しい発想はできない。
(編さん委員会)