「ワラジを一日に何足作れるか」っていうことなんだが、まあ一日八足というもんずらなえ。縄をなって一足作り上げてしまうに一時間かかる。一日を八時間とみれば、八足という勘定になる。
けれど、もともとワラジというものは、一日がかりで作るのは、冬のワラ仕事のときくらいなもので、その時、用意しておいたものが足らなくなったら、明日穿くワラジを、ヨウナビに作るというのがあたりめぇ。そのくらいの働きがなくちゃあ一人前ということにならねえんで。
(昭47・10・23伊那市天狗平で聞き書)
わらじ 下伊那郡阿南町西條 昭和34年4月
用心ぞうり 伊那市高遠町西高遠 昭和33年7月
不測の事態(急ぎ旅・火事・葬儀)など用心のために、通りの鴨居(かもい)に竹竿を渡し藁草履(わらぞうり)などを通して備えた。
わらじ 伊那市富県 新山小学校 昭和40年3月
石屋のワラジ 宮田村 昭和50年3月
四乳(よっち)わらじで石工がはいた。
踵(かかと)が底から左右にずれることを嫌い、それを防ぐために前乳よりもさらに前へ、左右に一本の横緒を渡したもの。
コンゴウ 伊那市 昭和46年4月
底はゾウリ編み、甲を被う部分は組み編み、スリッパ風な作りで土間や家のまわりではく。
ユキグツ(雪ぐつゴンソ) 北安曇郡小谷村 昭和46年4月
台部は四乳(よっち)ワラジで被甲部は組み編み、踵(かかと)とハバキに当たる部分とは、一体になってコモ編みとなっている。
あまり雪の深くない地帯の雪ぐつ、長ぐつ形。
かねのわらじ 飯田市松尾 昭和38年6月
「かね(鉄)のわらじで探す」という言葉がある。初一念を貫徹するという不退転の決意を、この「かねのわらじ」に込めて神仏に祈願し奉納したものと思われる。
藁のサンダル 宮田村 昭和50年3月
指の股へ鼻緒をはさむのではなく、足先を突っ込むというはき方をする。
ワラジの荷 伊那市 昭和41年7月
釣り人の足半(あしなか) 中川村片桐 昭和33年8月
「足半」とは足の裏(蹠)半ばを保護するはき物で、爪先と踵(かかと)の部分とが前後に出ることが著しい特色になる。
労働用、仕事ばきとして好適である。