農閑期の仕事

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農家の人々は、男も女も朝早くから日が暮れるまでよく働いた。稲作や養蚕あるいは果樹など本業のかたわら、特に冬期間、いろりのまわりで夜なべ仕事をした。日常生活に必要なものは何でも自分達で作った。縄ない・わらじ作り・俵作りは男の仕事で、麻糸紡ぎ・木綿紡ぎ・針仕事などは女の仕事であった。今は物が豊富になり、買ってすますことが多く、現金収入を求めて農閑期に出稼ぎにいく人も多い。
 
藁(わら)たたき 伊那市山寺 昭和36年10月
ワラ細工用のワラ(使い藁)はワラスベ(藁の葉鞘)を除いたスグリワラに程よい湿り気を与え、ジョウベ石とかアテ石と呼ばれる土間に据えた平たい石の上にのせ、回転させながら藁叩き槌で打って柔らかくする。この叩き藁が、藁細工仕事の土台となる。

 
俵作り 伊那市山寺 昭和36年10月
完成まじかの俵作り。上下に桟俵(さんだわら)をつけて完成。米俵は一般に四斗入り(60kg)が標準である。

 
俵編み 伊那市山寺 昭和36年10月
現在のような紙袋で、お米を出荷するようになる以前は、藁で作った俵は大切なお米の保存・出荷用具であった。各農家は自分の家で使う俵は、すべて自分の家で作った。

 
米俵の山 宮田村田中 昭和36年10月
収穫の喜び。今年とれた、新米の俵を板の間に積上げ、いろりを囲む夫婦。
 
新しき米は俵にをさめたり今宵
はやくより風呂にひたるも  雅重

 
新山小学校 わら細工の実演 伊那市新山 昭和43年2月
ムシロ機(ばた)で織りあげていく。これは敷き物や二つ折りにしてカマスにし、農作物や肥料の入れ物にする。

 
むしろ織 中川村 昭和42年6月
ムシロ機(ばた)の準備。

 
モッコ作り 伊那市伊那小学校 昭和36年10月
縄で方眼状に編んだ運搬用具。

 
炭俵編み 飯田市千代 昭和29年12月
山で焼いた炭を萱(ススキ)を細縄で編んだ炭俵に入れて馬の背やショイコで里まで運ぶ。