人力運搬

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ふろしき包を手でさげる、かばんなどを肩にかける、びくを腰につけるといった軽い運搬から、さらに運んで重いものとなると背負うのが中心となる。しょいこ(背負子)は、しょいた。せいたなどともよぶ。物を背負って運ぶのに、木の枠に荷物が安定しているので、背負いやすく、荷をおろすにも都合がよい。かさ(量)の多い物を運ぶときは長く、重い物を運ぶのには短いものがいいので、平地は長く、山地は短くなっている。しょいこに荷をつけて背負ったまま休息をするのに、にんぼう(荷棒)・にまた(荷股)などという一端が二またになっている杖形の棒を、しょいこの下へあてて、荷の重さを支え、立ち姿勢のまま休むことができる。山道で重い荷を背負う時などぜひ必要なものである。
 
炭を背負う人 飯田市千代 昭和30年6月
炭俵をショイコ(背板(しょいた))で運ぶ人。

 
背板 飯田市千代 昭和30年1月
木炭を背板で運ぶ人。男の人はニンボウ(荷棒)で休んでいる。女の人はイロリで燃す薪(シバ)を背負う。

 
背負い桶 天龍村平岡 昭和30年8月
水都合の悪いところでは飲み水や風呂水をこれで運んだ。

 
町へ行く女の人 上村下栗 昭和33年12月
白いエプロンはよそ行き着。

 
川木拾い 中川村片桐 昭和33年8月
河原に流れついた木を拾い集めて薪にする。山に遠い平地の村では貴重な燃料である。ショイタは大きくて荷受けのための棒が出た「朝鮮ショイタ」と呼ばれるもの。

 
セナカアテ 下伊那地方
 
荷を運ぶ姿 大鹿村大河原 昭和34年10月