古くは村内、または近郷の結婚が多かった。ことに山間の村にはそれが多く、また、お互いによくわかっているということから、親戚の間の結婚がなかなか多かった。富裕な家はつりあう相手が少ないので、自然と遠方との縁組をすることになり、早くから村外婚であった。現在は、どこでも広い範囲を対象とするようになった。
嫁入り 伊那市 昭和37年11月
嫁は盛装して、見立ての宴に出、親に別れのあいさつをし、仲人に伴われて家を出る。近親数名が一見(いちげん)の客として同道する。歩いていくが遠方などは嫁だけ乗り掛けの馬や駕篭を用いることもあった。
婚礼の縁起飾りを飾った床の間 高遠町長藤 昭和37年11月
縁起ものは藁で作られている。
三々九度の盃 高遠町長藤 昭和33年3月
嫁が婚家に着くと、座敷で三々九度の夫婦がための盃が行われ、親子盃、兄弟盃などが行われる。これを祝って謡がうたわれるのが一般的である。
花嫁行列 伊那市 昭和37年11月