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伊勢神宮御造営材御木曳記念絵葉書 解説

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伊勢神宮御造営材御木曳記念絵葉書1 伊勢神宮御造営材御木曳記念絵葉書2    伊勢神宮では二十年に一度、御正殿をはじめすべての社殿を新造し、御装束神宝を新調して御神体を新しい宮に遷す「式年遷宮」が古くから行われてきた。
   第一回の式年遷宮が行われたのは、持統天皇四年(690)といわれ、以来、戦国時代に一時中断したが、千三百年以上にわたって続けられている。最近では平成二十五年秋に、第六十ニ回式年遷宮が執り行われた。八年間で三十三に及ぶ遷宮諸祭の中で一般人が参加できるのは、御木曳行事と御白石持ち行事のみである。御造営材御木曳(御木曳行事)とは、遷宮に伴う造営にあたり神領民が御用材を運ぶ行事で、外宮領は陸曳、内宮領は川曳で旧神領民の各町の奉曳団により第一次・第二次と二年に亘って行われる。
   絵葉書は、第五十九回式年遷宮(昭和二十四年から二十八年に延期)の御木曳(昭和十七年)の模様と思われる。
   戦後の物資統制の中、白キャラコを一括購入し、全奉曳団白一色の古代式浄衣を奉曳の服装とした。現在の白を基調とした服装や、たすき掛けでの奉曳への参加はこの時に広がった。
   伊勢の「お木曳き」行事は、国の選択無形民俗文化財、市の無形民俗文化財に登録されている。

      <参考文献>
            『伊勢の御木曳 第六十二回神宮式年遷宮』
               伊勢文化舎/編 神宮司庁・神宮式年造営庁/発行 平成18年(2006)


伊勢神宮御造営材御木曳記念絵葉書(川曳の光景)          一覧へ
伊勢神宮御造営材御木曳記念絵葉書(川曳の光景)    伊勢神宮では二十年に一度、御正殿をはじめすべての社殿を新造し、御装束神宝を新調して御神体を新しい宮に遷す「式年遷宮」が古くから行われてきた。
   第一回の式年遷宮が行われたのは、持統天皇四年(690)といわれ、以来、戦国時代に一時中断したが、千三百年以上にわたって続けられている。最近では平成二十五年秋に、第六十ニ回式年遷宮が執り行われた。
八年間で三十三に及ぶ遷宮諸祭の中で一般人が参加できるのは、御木曳行事と御白石持ち行事のみである。御造営材御木曳(御木曳行事)とは、遷宮に伴う造営にあたり神領民が御用材を運ぶ行事で、内宮領は「川曳」、外宮領は「陸曳」で旧神領民の各町の奉曳団により第一次・第二次と二年に亘って行われる。
   「川曳」は、旧内宮領民により、ソリに御用材を載せて五十鈴川の清流の中を遡り内宮に曳き込む。戦前までは、大湊へ到着した内宮の御用材は、五十鈴川を遡上し楠部まで回送され、そこから御木曳が行われた。曳き入れ場所については、江戸時代、作事(作業)場所が宮域内となっていた場合は、そこへ運び入れていたが、昭和四年度の遷宮の御木曳行事以降、五十鈴川新橋下流から舘町に新設された工作場への曳き入れとなった。昭和四十八年度の遷宮以降は、浦田橋下流から新橋、宇治橋までソリで遡り内宮域への曳き込みとなった。
   川曳は、川の水量によって進行が左右され曳き手の力と技術が結集することが求められる。木遣り衆の手に持つ采は川曳ならではの木製のものである。
   木遣歌とホラ貝の音色が響き渡る中、自然の中を古式ゆかしく御用材を載せたソリが進む川曳。その美しさと力強さがみどころとなる。
   また、「陸曳」は、旧外宮領民により、宮川から御用材を引き上げ奉曳車に積み込み市街地を通って外宮まで曳き込む。
   絵葉書は、第五十九回式年遷宮(昭和二十四年から二十八年に延期)の御木曳の川曳(昭和十七年、十八年)の模様と思われる。
   戦後の物資統制の中、白キャラコを一括購入し、全奉曳団白一色の古代式浄衣を奉曳の服装とした。現在の白を基調とした服装や、たすき掛けでの奉曳への参加はこの時に広がった。また、各奉曳団の木遣歌や道歌なども時代を反映して、戦勝を祈り、士気を鼓舞するものがほとんどであったという。
   伊勢の「お木曳き」行事は、国の選択無形民俗文化財、市の無形民俗文化財に登録されている。

      <参考文献>
            『伊勢の御木曳 第六十二回神宮式年遷宮』
               伊勢文化舎/編 神宮司庁・神宮式年造営庁/発行 平成18年(2006)
            『民俗資料選集4伊勢のお木曳き行事 白石持ち行事』
               文化庁文化財保護部/編 国土地理協会/発行 昭和51年(1976)
            『伊勢市史第8巻民俗編』
               伊勢市/編 伊勢市/発行 平成21年(2009)