小池池旭画 花鳥図


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 坂野耕雨は梁川星巌の玉池吟社に学んだが、同門で『月波楼遺稿』序文を著したのが社友であり、親交があった枕山大沼厚で、彼の義妹が小池池旭(1824-78).である。池旭は加賀の生まれで、江戸に出て大沼枕山の義妹となり、諸国を遊歴したことで知られている。おそらく枕山との縁で坂野家の収蔵となったものと解釈できる。
 落款は「竹図」に「池旭女写」とあるが、他の五幅は二箇の印のみが捺され、いずれも白字方印で「池旭」、「女史」と読める。
 花鳥画六幅は季節の花と鳥を素直に描いたのであろう。「牡丹図」は花王、あるいは富貴を意味し、画中にほうじろに似た鳥が描かれている。「菊図」は秋に小禽を描いて「老圃秋客」の名がある。「秋客」は菊を指し、花鳥画家のよく描く画題である。「竹図」には雀が描かれて「竹雀」の画題があり、「柳図」には燕を充てる。「藤図」は雀を充てて「香林紫雪」の画題があり、近代では滝和亭、野口幽谷によって描かれた。「薔薇図」は東洋の薔薇「長春」を言い、和名で「庚申薔薇」と言い、四季咲きである。このため四季に応じることから「月季花翠雀」の画題がある。いずれも画題に応じた小禽であるが、多くは雀やほうじろ、こがらなどの小禽を描いて花鳥図としたのであろう。
 六花を組み合わせる画題はないが、牡丹と薔薇を双福に組み合わせて「富貴長春」、また牡丹に竹を合わせ「富貴平安」を言う。四君子は竹、蘭、梅、菊をさすが、池旭の花鳥図では竹と菊の二友とみなす。
 池旭筆「花鳥図」六幅は坂野家では表具をされずに伝来し、捲りのまま保管されている。本図が精緻な画風を示すものでなく、筆勢、運筆が早いことから、おそらくは耕雨が大沼枕山の書斎「東京煕煕堂」に遊び、同所にて耕雨が池旭に求め、即興の席画として描いたものと解釈できる。
 
解説: 守屋 正彦(筑波大学教授・博士(芸術学)) 2017.9
 
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