秋場桂園書 七言絶句「癸未新年心」


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 儒者秋場桂園(名は祐、字元吉、1813-95)が半切の画仙紙(134cm×35cm)に七言絶句「春味満堂濃似酥。児孫祝献屠蘇回。侯更愛壁間幅。家祖傳来花鳥圖」を行草で2行にしたためたものである。題「癸未新年心」の干支から明治16年(1883)の書き初めと言えるが、壁に掛けた家祖伝来の花鳥図軸を愛でつつも、屠蘇などによる酔書らしい一気呵成の書きぶりである。
 「七十一叟桂園」と齢も記した落款を添えるが、「七」「十」ともに横画を右から「ノ」のごとく書く形として続けている。その下には「桂園」白文方印と「元吉氏」朱文方印を捺す。また冒頭には「天香」白文引首印を捺すが、79歳時に坂野行斎の古稀を祝して賦した七言絶句の落款に捺された「一號天香道人」朱文方印にあるとおり、別号である。
 
解説: 森岡 隆(筑波大学教授・博士(芸術学)) 2019.3
 
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