「水海道市史」上巻の刊行にあたって

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 昭和四十三年から、明治百年を記念して着手した「水海道市史」編さん事業は、先に「図説水海道市史」を刊行してきたのでありますが、すでに十年の歳月を閲しております。
 この間「市史資料集」六冊を著わすかたわら、本格的通史の執筆にとりくんでまいりました。
 当初その成果を、一巻本として発刊する予定でありましたが、調査、研究を進めてまいりますと、市域が広い上に、とりわけ明治以降の近現代史に相当する部分の資料等が続々と発掘され、分冊のやむなきに至り、今回ようやく、原始・古代から近世までを市史上巻として江湖に問う運びとなりました。
 この上梓によって、郷土の先覚者富村登先生の著作「水海道郷土史談」前・後編の偉業の上に、当市の歴史が幾分なりとも通繞的、構造的に明らかになるならばこれに過ぐる喜びはありません。
 限られた時間的制約のなかで、特に執筆者の先生がたには渾身の彫琢をわずらわしたわけでございますが、歴史は常に、新しい史実の発見、より合理的な解明の進展等によって書き高められていく運命をもになっております。
 願わくばどうぞ、温故知新――古きをたずねることによって新しきをさぐる道すじの座右として、また、より広く、奥深い郷土史研究の礎石としてご活用いただきたいと存じます。
 最後に、今回の刊行にあたり、貴重な資料を提供してくださいました方々、市史編さん委員、専門委員、執筆者、協力委員諸兄の献身的御労苦に対しまして、衷心より深甚なる謝意を表するものであります。
  昭和五十八年三月
                                 水海道市史編さん委員会委員長
                                  水海道市長 落合庄次