この遺跡については、既に昭和一六年一〇月に江坂輝弥氏等によって発掘調査が行われ、昭和一七年九月の『古代文化』に、その成果が公表されている。
貝塚は、三地区に分かれており、そのうち南斜面に存した貝塚に比較的広範囲に貝類が散在していたようである。
調査はA・B・C・Dの四地区を設定して行われているが、B及びD地区からは、住居址等も確認されている。発見された遺物は、ハイガイ・サルボウ・ベンケイガイ・マガキ・カガミガイ・オキシジミ・ハマグリ・アサリ・ベニサラガイ・シオフキ・ヤマトシジミ・ツメタガイ等の貝類を主としているが、鳥獣魚骨の発見はなかったようである。土器の大半は破片類であるが、縄文時代前期のもので占められている。また、石鏃・磨製石斧・石皿・凹石・礫器等の石器も出土している。
貝柄山貝塚分布図(『茨城県史料 先土器・縄文時代』)
貝柄山貝塚出土石鏃(『茨城県史料 先土器・縄文時代』)