28 大生郷遺跡

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 大生郷遺跡は、鬼怒川及び飯沼川の開析によって発達した台地段丘面に立地する集落遺跡であるが、昭和四九年三月、水海道市大生郷字中丸ほか広範な地域を日本住宅公団が工業団地の造成を計画したことにより、記録保存のための調査を昭和五〇年一二月から、五二年三月三一日まで、約四万平方メートルを四地区(A~D)に分けて発掘調査をした。
 調査の結果、全地区で竪穴住居址二九軒、土壙が三基発見されたが、分布図に示されているように、その分布状況は極めて疎であり、どちらかといえば、南部に集中して存在している。これらの住居址の編年であるが、縄文時代前期のもの一〇軒、中期のもの一軒、古墳時代前期のもの一二軒、奈良時代前期のもの六軒となっている。土壙の中の一基は地点貝塚を呈していたという。
 出土遺物は、縄文土器については前期に編年される繊維を胎土の中に含む土器の破片が大半であったが、古墳時代及び奈良時代のものについては、土師質・須恵質の土器等で占められ、壺・坏・坩・碗・高坏・鉢など器形は多種多様である。その他として、砥石・滑石製模造品・勾玉・土錘なども出土しており、古墳時代前期(和泉期)の集落址一〇軒余と数的には小規模であっても、水海道地方における唯一の前期集落址群として注目に値する発見であるが、調査後、遺構等のすべては湮滅してしまった。
 
大生郷遺跡遺構一覧表
番号地区遺構番号種 類平面形規模(m)時 代
1AK 9-1H竪穴住居隅丸方形4.1×3.6縄文中期
2I27-1H方 形6.4×6.7古墳前期
3K15-1H6.0×6.1
4N13-1H長方形6.4×9.2
5L 5-1H方 形5.1×5.1
6H 9-1H
7BR39-1H隅丸方形3.5×3.8縄文前期
8R38-1H楕円形4.0×5.5
9I42-1H円 形5.3×5.8
10I42-2H隅丸方形5.7×5.4
11I43-1H円 形5.2×5.2
12L45-1H6.5×5.7
13L45-2H
14N44-1H楕円形6.6×6.6
15N38-P1土 壙不整形2.4×1.7〃(貝層)
16G48-1H竪穴住居円 形5.2×5.8
17M41-1H方 形11.2×10.85古墳前期
18L44-1H6.5×6.5
19L46-1H7.9×6.4
20M45-1H4.6×5.1
21O43-1H9.1×9.6
22J44-1H隅丸方形3.2×3.5奈良前期
23J47-1H4.2×4.8
24N47-1H3.6×3.6
25N45-1H3.3×3.8
26H47-1H4.1×4.3
27G47-1H
28AQ17-P1土 壙円 形1.4×1.3古墳前期
29DD 3-1H竪穴住居方 形5.5×5.8縄文前期
30A 2-P1土 壙円 形1.7×1.4
31C 1-1H竪穴住居方 形12.0×12.0古墳前期
32E 3-1H


 
 

大生郷遺跡遺構分布図(『大生郷工業団地内埋蔵文化財調査報告書』)