商工

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鎌倉期には年貢の代銭納がはじめられているから各地に市場が開かれる。農工産物を農民は売って宋銭・元銭(宋銭は清盛以来交易で入る。後に明銭)を得たわけである。
 売品を見せたので見世(店)、棚に並べたので棚(見せ棚)が始められた。「七十一番歌合」の絵には女が売りに出ている。魚うり・米うり・白布うり・椀うり・土器うり等がある。男は物を作ったり仕入れをしたことであろう。また、組合もみられ、郷土でできる物の座に、菅笠座・菰座・莚座・糟糠(馬の飼料)座・青苧(麻)座がある。工産には製鉄・鍛冶がありその跡や、鍛冶屋敷の地名も残っている。『庭訓往来』 (応永一五~同二八)に下総周辺の常陸紬(実は結城紬)・上総鞦(馬具)・武蔵鎧など記録がある。