3 (戦時下町内会長等会議実施に関する件)(抄)

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 昭和二十年二月二日
                 結城地方事務所長
   各町村長殿
   町内会長部落会長会議実施ニ関スル件
 標記ノ件別紙要項ノ通実施可致候条貴職又ハ事務主任者引率ノ下ニ町内会町部落会長全員所定ノ会場ニ出席セシメラレ度候
 追テ本件ハ町村主催町内会部落会、指導者講習会ニ代ル施設トシテ計画シタル次第ニ付出席者ニ、相当ノ手当ヲ支給シ一人洩レナク出席スル様可然御取計相成度候
 尚開催地地元町村ニ於テハ場所ノ交渉、湯茶ノ接待等御高配相煩度
 会議順序ハ左記ノ通ニ付地元町村長ハ開会ニ際シ一場ノ挨拶致サレ度候
    記
 一、開会之辞
 二、国民儀礼
 三、国歌奉唱
 四、詔書捧読
 五、地方事務所長挨拶
 六、県派遣官挨拶
 七、地元町村長挨拶
 八、会議
  1 部落会町内会運営ニ関スル件
  2 食糧増産並供出ニ関スル件
  3 国民貯蓄増強ニ関スル件
  4 戦意昻揚ニ関スル件
  5 防諜ニ関スル件
 九、各代表者ノ意見発表並懇談
 十、万歳三唱
 十一、閉会ノ辞
 皇国ノ隆替ヲ決スル重大戦局下、町内会部落会ノナスベキ事業ハ詢ニ繁多ニシテ且ツ重大ナリ仍テ之ガ運営ノ衝ニ当ル町内会長部落会長ノ心身両面ノ労苦ニ対シテハ深ク感謝スル所ナルモ此ノ労苦無カリセバ国家ノ基盤全キヲ得ズ、玆ニ町内会長部落会長各位ノ参集ヲ得、篤ト国策ノ滲透徹底併セテ会長各位ノ要望ヲ聴取シ以テ重大戦局ニ処スル之ガ運営ノ完璧ヲ期セントス
二、開催方法
 1参会者、町内会長、部落会長全員及町村長又ハ事務主任者
 2会議
   午前十時開会
   〃十二時マデ提案事項ノ説明
   午後三時マデ各町村代表者ノ意見発表並懇談
 3開催ノ期日場所及参加町村
 
期  日開催場所参  加  町  村  名
二月 八日山川国民学校絹川村 江川村 上山川村 山川村
二月 七日西豊田〃〃中結城村 名崎村 西豊田村 下結城村 安静村
二月 六日石下〃 〃結城町 石下町 水海道町
三月十二日宗道〃 〃豊加美村 総上村 蚕飼村 宗道村 大形村
三月十三日玉 〃 〃玉村 岡田村 飯沼村 豊田村
三月十四日三妻〃 〃大花羽村 菅原村 三妻村 豊岡村 大生村 五箇村


 
三、経費
  会場費等ハ主催者側ニ於テ負担トス
四、主催者
  結城地方事務所 大政翼賛会結城郡支部
五、其ノ他
 1開催地地元町村長ハ開催場所ノ設備ヲナサレタシ
 2開催地地元町村長ヘ自町内町内会部落会ノ運営状況ニ付参考トナルベキ事項ニ付説明セラレタシ
 3出席者ハ各自昼食携行セラレタシ
 4出席者ニハ各町村ヨリ夫ニ出席手当ヲ支給セラレタシ
 5開催地地元町村ニ於テハ湯茶ノ接待ヲナサレタシ
   町内会長 部落会長会議ノ要項
一、戦意昻揚ニ関スル件
  大東亜戦争ハ正ニ決戦段階ニ突入シ真ニ皇国ノ隆替ヲ決スル重大戦局ニ際会セリ、而シテ自内ノ現況ヲ達
  観スルニ一億国民或ハ将兵トシテ或ハ軍需工場要員トナリ又ハ農業要員トシテ将又官公吏配給担当員トシ
  テ今ヤ全ク戦闘配置ニ就キタリ、玆ニ於テ各員確固タル必勝ノ信念ヲ堅持シ其ノ職域ニ特攻精神ヲ以テ奉
  公スルニ於テハ如何ニ物量ヲ誇ル敵米ト雖モ断ジテ之ヲ撃摧シ得ルコト必セリ然レドモ勝利ノ秘訣ハ国民
  ノ戦意如何ニ在リ、サレバ各位ハ銃後国民軍ノ第一線指揮者タルノ自覚ヲ以テ常ニ部内民衆ノ戦意昻揚ニ
  努メ完勝ノ日迄一糸乱レザル部内統制ニ当ラレタシ
二、町内会部落会ノ運営ニ関スル件
  町内会部落会ハ町村制ニ基ク国家ノ最下部組織体ニシテ正ニ国家組織ノ基盤タリ 此ノ組織体堅固ニシテ
  国家組織即チ磐石タリ、各位ハ此ノ重要組織体ノ長トシテ其ノ運営ニ日夜献身的努力ヲ払ハレツヽアルハ
  洵ニ感謝ニ堪エザル所ナリ、然レドモ此ノ組織体ニ此ノ努力ナカリセバ大東亜戦ノ完遂ハ実ニ容易ナラズ
  ト思考ス、各位ハ此ノ名誉アル重責ヲ克ク理解セラレ凡ユル点ニ於テ衆ノ範トナリ又常会ニ於テハ国家施
  策ノ浸透ニ努メ且ツ個人ノ意見ハ懇切ニ之ヲ聴取シ正シキハ下情トシテ上通スルハ勿論、増産並供出貯蓄
  増強等ノ研究ニ或ハ配給物資ノ公正ナル配分ニ努メ、其ノ他凡ユル生活部面ニ親切心ヲ発揮シ一部落即一
  家庭タルノ実ヲ挙グルニ尚一層ノ御尽力相煩ハシタシ
三、食糧増産並供出ニ関スル件
  大東亜戦完遂上最モ支障ヲ来シツヽアルハ食糧ト飛行機ノ不足ナリト思考ス、而シテ之ガ増産ニ関シテハ
  政府ハ凡ユル施策ヲ講ジツヽアリト雖モ之ガ解決コソ洵ニ必勝ノ要因タリ
  本邦ハ県下有数ノ農業部ニシテ大東亜戦完遂ノ為貢献スベキ第一ノ責務ハ此ノ食糧増産ニ有リト存ズ、各
  位ハ克ク増産班(部)長ヲ協力シ且ツ共ニ研究シ耕地ノ改良ニ品種ノ改良ニ肥料ノ増産ニ其ノ他凡ユル増産
  ノ要因ニ付工夫研究シ部内挙ツテ増産報国ニ一路邁進セラレタシ、増産ハ供出ニ依リ初メテ戦力化ス、然
  ルニ此ノ供出コソ洵ニ重大問題ニシテ部内不統一ノ原因ヲ見ルニ総テ此ノ供出ニ論ヲ発シ居ル状況ナリ、
  故ニ各位ハ此ノ供出割当ニ際シテハ真ニ滅私公正ナル割当ニ努メ以テ増産並ニ供出ノ円滑ナル遂行ニ貢献
  セラレタシ
四、国民貯蓄ノ増強ニ関スル件
  国民貯蓄ハ各位ノ御尽力ニ依リ相当良好ナル成績ヲ収メツヽアリ、昭和十九年度本県目標ハ当初四億二千
  万円ナリシガ其ノ後目標ノ追加アリテ五億三千万円トナリタルモ昨年十二月末現在ニ於テ既ニ四億五千万
  円、目標ノ八五・九%ヲ攻略セリ、然レドモ通貨ノ膨張ハ愈々顕著トナリ物価ノ抑制亦益々困難ナル如ク
  思料ス、右ハ畢竟物ト金トノ均衡ヲ得ザル結果ニシテ此ノ点ヨリ見テ資金ノ吸収即チ貯蓄増強ノ要洵ニ緊
  切ナリ、明二十年度ニ於ケル国家ノ貯蓄目標ハ概略六百億円ノ如シ、右ハ本年度ヨリ百九十億円ノ増加ニ
  シテ之ガ達成ハ実ニ容易ナラズ、各位層一層ナル努力ヲ望ム各位
五、防諜並防空ニ関スル件
  戦局熾烈ニシテ本土空襲頻繁トナリ、正ニ前線銃後ノ別ナキ、現戦局ニ於テハ防諜並防空知識ノ普及ハ誠
  ニ緊急問題ナリ、各位ハ部内民衆ニ克ク防諜知識ヲ与フルト共ニ防空対策ニ充分研究工夫シ、デマ或ハ空
  襲等ニヨリ部内ノ必勝態勢ニ乱ルガ如キコトナキ様充分留意指導セラレタシ。
                         〔「昭和二十年度水海道町庶務綴」水海道市役所蔵〕