聖旨奉戴農民道昻揚方策ニ関スル件
戦後農民ノ思想指導ニ関シテハ予テ種々御配意中ノコトト存候処今般県主催ヲ以テ聖旨奉戴農民大会左記ニ依開催致スコトニ相成候条御出席相煩度此段依命及通牒候也
記
一、日時 九月六日 午前十時
二、会場 地方事務所会議室
三、詔書捧読
四、地方事務所長挨拶
五、県官挨拶
六、県政協力会代表挨拶
七、県農業会長挨拶
八、表彰
九、協議
一〇、申合
一一、閉会ノ辞
聖旨奉戴農民道昻揚方策
一、方針
戦争一本ニ結集緊張シタル農魂モ事局ノ急変ニ遭遇シ悲愁ノ余リ失望落胆意気沮喪ノ結果一時ニ崩レ茫然
自失去就ニ迷フノ状ヲ呈シタルモノアリタルモ逐次平静ニ帰シツヽアルノ此際先般賜ワリシ戦争終結ニ関ス
ル御詔書ノ御聖旨ヲ奉戴シ「再建日本ノ中核ハ農村ニ在リ」ノ新ナル信念ノ下愈々加重セラルベキ諸種ノ艱
難ニ対処シ冷静沈着隠忍自重事ニ当リ戦時ニ発揮シタル烈々タル農魂ヲ更ニ昻揚伸張シ帝国再建成否ノ鍵ハ
懸ッテ今後ノ食糧事情如何ニ在ルヲ痛感シ一意食糧ノ供出ニ挺身励精スルノ気風ヲ振作スルノ方策ヲ講ジ官
民一体挙県一致シテ此ノ非常時艱克服ニ奉公ノ誠ヲ致シ以テ危急時ニ於ケル国家ノ食糧対策ニ応ズルモノト
ス、而シテ当面セル事項トシテ昭和二十年産麦類及薯類ノ割当量供出ノ現況ニ鑑ミ急速之ガ供出必遂ヲ期ス
ルト共ニ各種食糧ノ増産意欲ノ昻揚ヲ図ルモノトス
二、要領
本件趣旨達成ノ為差当リ概ネ右記方策ヲ講ズルモノトス
一、聖旨奉戴農民大会ノ開催
各部落毎ニ大会ヲ開催本件趣旨ノ達成ヲ図ルモノトス
協議
一、食糧増産ニ関スル件
二、昭和二十年産麦類馬鈴薯供出ニ関スル件
申合
戦後農村事情ノ重大性ニ鑑ミ左記各項ノ実行ヲ誓フ
記
一、御聖旨ヲ奉戴シ愈々冷静沈着隠忍自重シ戦時ニ勝ル烈々タル農民魂ヲ振起将来ノ建設ニ総力ヲ傾ケ御奉
公ニ挺身ス
二、皇国再興成否ノ鍵ハ懸テ再建日本ノ中核タル農村ノ振否ニ在ルヲ自覚シ一意食糧ノ増産供出ニ邁進セン
コトヲ期ス
〔「昭和二十年度水海道町庶務綴」水海道市役所蔵〕