8 (連合軍進駐に伴う民衆指導に関する件)

416 ~ 417 / 503ページ
 昭和二十年九月九日
                  水海道警察署長
   各町村長殿
   各 巡査殿
    連合軍進駐ニ伴フ民衆指導ニ関スル件
 本県ニ対シ連合軍ノ進駐スルヤ否ヤ未ダ確定シ居ラザルモ敵側ノ決定ニヨリ何時急速ニ進駐シ来ルヤ否ヤ計リ難キモノアリ
敵進駐時ニ於ケル人心安定並民衆指導ハ治安上最モ重要ナルモノアルヲ以テ之ガ資料トシテ別添回覧板文案送付候ニツキ当署ヨリ電話指示アリ次第即刻配布シ末端ヘノ浸透セシムル等民衆指導ノ万全ヲ期シ置カレ度シ
      回章
  連合軍進駐に就ての御注意      水海道町
 帝国政府と連合軍最高指揮官との取決めに依り近く連合軍の軍隊が土浦市に駐屯することになりましたが皆様は特に左の事項に注意し飽く迄も大国民としての平静毅然たる態度を失わず連合軍の軍隊に接していたゞきたい。
 一、連合軍の進駐駐屯は一切我政府と接渉の結果平和的になされるのですから、皆様は平常通り安心して生
   活していて下さい。但し次の各事項に充分注意する事が肝要です。
 二、外国の軍人に対し個人が直接接触することは努めて避けること、但し先方から求めて来た場合は毅然た
   る態度で接することが大切です。
 三、言葉が通じない事から得てして摩擦間違いが起り易いから、各町内会、部落会では万一の場合を考えて
   英語の解る男子を活用する事も一策です。
 四、国内の治安維持は従来通り警察が当るのですから決して心配する必要はありません。
   進駐軍が勝手に交通機関を押える様な事はないから決して動揺することなく 又みだりに住居を逃げ出
   す様な事は絶対にしないことが大切です。
   皆様が勝手に移動すると非常な混乱を招き却って治安上害があります。
 五、どんなことがあっても腕力沙汰に訴ヘ(え)ぬこと又自分勝手に個々に談判せず問題が起きたら直にく
   は(わ)しく警察に届出下さい。
 六、特に婦女子は日本婦人としての自覚を以て毅然たる態度を持し濫りに外国人に隙を見せぬ事が肝要です。
 七、婦女子が淫らな服装をしたり人前で胸をあらはしたりすることは絶対に禁物です。
 八、外国軍人が例えば「ハロー」とか「ヘイ」とか片言の日本語で呼びかけられても婦女子は相手にならず
   避けること。
 九、特に外国軍隊駐屯地附近に住む婦女子は夜間は勿論昼間でも人通りの少ない場所を独り歩きしてはなり
   ません。
                        以上
                         〔「昭和二十年度水海道町庶務綴」水海道市役所蔵〕