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私たちの祖先は、春にさきがけ梅花野に満ち、うぐいすのさえずりに文化の息吹きを感ずるこの沃野に、自然との闘いをくり返しながら、世に世に人々は精一杯に生きぬきながらえて、ここにさまざまな人と人とのふれあいを通して歩み続け、歴史を積み重ねて今日の繁栄の礎となってきました。
こうした祖先が築きあげた貴重な遺産と偉大な足跡を記録し、後世に伝えることは現代に生きる私たちに課せられた責務であります。
歴史を重んずる国家は栄え、軽んずる国家は滅亡するといわれておりますが、このことは過去の歴史が明確に物語っています。
このような観点から昭和五十四年以来町史編纂事業にとりくみましたが、昭和六十年には茨城大学名誉教授瀬谷義彦先生にお願いして、当町出身の所理喜夫駒沢大学教授をはじめ多くの諸先生方の参加をえて、町内外の現存資料をもとに執筆を進めてまいりましたが、今回刊行の運びとなり誠によろこびにたえません。
「温故知新」と申しますが、私たちはそれぞれの時代を背景にして文化遺産をひきつぎ、郷土のより一層の発展に努めていく所存でございます。
最後に編纂事業に昼夜を分かたぬご協力をいただきました専門委員はじめ、調査委員の諸先生方ならびに貴重な資料を快く提供くださいました町内外の所蔵者、および関係機関に対し心より感謝申しあげます。
昭和六十三年三月
石下町長 松崎良助