こうした環境のもとで、彼らは山野において採集活動や、ごく初歩的な漁撈活動、狩猟活動を行なって生活していた。特に、狩猟活動においては今日では絶滅してしまった大型獣(ナウマンゾウ、マンモス、オオツノジカなど)をその対象としていたようである。
I-2図 ヴュルム氷河期の日本列島(『茨城県史』原始古代編より改変)
しかし、この生活も幕を閉じる頃がやってきた。それは気候の激変によってもたらされた。地球全体の温暖化による海水面の上昇は、大陸と陸続きであった日本を列島と化した。そのため、人々の居住域や食料獲得方法は変化を余儀無くさせられ、さらに拍車をかけたのが、土器の発明であった。土器による食料の煮沸は、人々の食生活を大きく転換させていった。こうして、新たな文化をもつ縄文時代への胎動が始まったのである。