今からおよそ一万二〇〇〇年前、それまで寒冷だった地球の気候が温暖になり始めた頃、日本列島に縄文人が登場した。
彼らは狩猟、漁撈、採集活動によって食料を得、竪穴住居でくらし、縄文式土器やさまざまな石器を使い生活していた。
厳しい自然のなかで、たくましく生きた彼らの生活は、地域により若干の相違がみられるが、その痕跡は、現在日本各地で認められる。この石下町も例外ではなく、昭和六十一年に調査したところでは、縄文時代の遺跡数は六一か所を数えた。時代的な偏りはあるものの、町内に残る遺跡や遺物を通して、石下地方に住んだ縄文人の生活を復元してみたい。