Ⅲ-9図 「御水帳」表紙(千代川村 宗任神社蔵)
『常総遺文』(土浦藩の国学者色川三中編)第四巻(東京静嘉堂文庫蔵)に写された当水帳の奥書(現在は散佚)から、この帳簿仕立ての冊紙が元禄十三年(一七〇〇)に書写されたものであることが判明する。
内容を端的に示すであろう表紙の題は、三中写本をも考慮すると左のようである。
(図)
すなわち、幸嶋・豊田二郡内計四五郷に関する「惣高」(これでは内容と合わず意味不明)を記載した帳簿であるという。しかしこの表紙は、本紙と紙形・紙種合わず、後補の可能性が強い。このように点検すると、やはりこの「御水帳」なる帳簿の利用は極力避けたくなるのであるが、本文中にみえる郷・村の記事は捨て難く、多様な視座をもちながら、かつての叙述の意図をできる限り生かしながら底本の実態に迫ってみよう(『八千代町史』では現段階での一応の所見を詳述している。本町史での紹介にもこの成果を全面的に取り込むことにする)。