地頭・村の殿様

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地方知行を行なう旗本のことを村方の史料でみると、「地頭御役所」「「御地頭所様」「地頭用所」などと記してあり、旗本領主のことを「地頭」とよんでいたことがわかる。地頭とは鎌倉時代に使われた中世の用語のような感じがするが、近世でも広く一般に使われていた。
 

Ⅱ-11図 興津氏の「地頭用所」印(新井清氏蔵)

 また、さらに現在でも昔の「殿様」とか「旗本の御殿様」などというような、身近に領主を感じるような表現を聞くこともある。旗本の地方支配は人身的な支配とでもいっていいほど、人と人との密接な関係がうかがえる。ことの良し悪しは別として、こうした関係は藩領や幕領ではみられないことであり、旗本支配の特徴といえるであろう。