○図書館建設
茨城県教育委員会発行のフォトニュースNo.206(一九八六)によれば、昭和六十年度に於ける公立図書館は、茨城県立図書館を含め二一館ある。市立図書館が十三館、町立図書館が五館、村立図書館が二館である。
市部での未設置は、北茨城・常陸太田の県北市部、残りは、笠間、結城、下妻、岩井等の県西市部である。町立は四五町のうち五館であるが、牛久・鹿島の二町を除けば、岩間町が人口一・六万弱、鉾田町が二・八万弱、玉造町が一四万弱の町である。村立は二九か村のうち二村であるが、人口三万と原子力発電所を有する東海村を別格とすれば、農村モデル館としての人口一・八万の出島村だけである。
六十年四月発行の「第二次石下町総合振興計画」には「図書館等の次元の高い施設が未整備なことも問題になっている」との記述があり、昭和七十年の本町の姿として「社会教育については、多くの図書を有する図書室を備えた町民会館が建設され、これを核とした社会教育が活発に行われているのであろう」との予見記事もあるが、できるだけ早く実現をのぞみたい。
中央公民館の一隅にある図書室の図書利用状況は「石下の統計」(No.18)によれば、昭和五十年度の図書利用者は、年間三四五人、冊数五一六冊、五十五年度は利用人員一六一三人、利用冊数二九四七冊であり、五十八年度はそれよりはるかに下回る状況である。高校進学率も急上昇し、文化活動も極めて旺盛な当町としては、文化的水準の実質的向上をはかるためにも早急に欲しい施設である。
○教育研修センターの質的向上
昭和三十七、三十八、三十九の三か年間、石下町と千代川村とが単位地区となり、茨城県教育委員会から教育実験地区の指定を受けた。関係者協議の結果「科学性に立つ学校経営」のテーマでとりくむことになった。終了後、両地区の理事者と教育長の好意あるはからいで、前記関係予算をそのまま残してもらい設立されたのが「石下教育研修センター」で、昭和四十年(一九六五)の発足であった。県下においても先がけの施設であり、県教委も特に注目して、特別に専任の指導主事さえ派遣してくれた。
それにより、県外の長期視察研修、郷土読本の編纂等のユニークな試みもあり、相当の実績を残したが、運営にはなお一層の創意工夫が必要であろう。単なる教育行事の調整機関と化しては、センターの意味も稀薄になってしまう。
第一に希望することは、センターの核になる整った研究室を持つことであろう。センターとは名ばかりで、独自の基本文献を持つでもなく特別の室を持つでもない空漠たるものでは研修センターともいえまい。ぜひとも一つの「城」がほしい。そして、今放置すれば第一次教育時代の貴重なる文献なども、散逸のおそれ十分な時期にもなっているので、ぜひ収集の労を惜しんではなるまい。石下地方教育史の系統的研究、教科書の系統的収集と分析的研究、各学校における研究物の系統的整理等、単なる技術的研究にとどまらず、理論的礎石的研究にも意を注いで、充実をはかる必要があろう。
Ⅷ-4図 石下町立石下小学校
○児童館の設置
児童の健全な成長発展のためには、古来から、教育の三位一体ということがいわれている。即ち、家庭教育、学校教育、社会教育が一体となって、同一目標のもとに、それぞれの場において有意的に、有機的に育成されなければ真の目的は、達成されないであろうということである。
これら三者の中、最も等閑に附せられているのは、児童が退校の後、あるいは休校の時など、こども達が適当に遊び、あるいは健康の保持増進のため、あるいは情操を豊かにするような意図を持つ場が、ほとんど絶無に等しいというのが現状である。
政府は児童福祉法を制定し、その法に基づく児童福祉施設として、児童館の建設を奨めているが、実際は極めて低調である。
茨城県においては、昭和六十一年四月一日現在において三〇館に過ぎない。県西では、昭和四十二年開館の当町古間木児童館を第一号として、水海道市に二館、つくば市・五霞村に各一館、特殊施設を具備した施設として岩井市の児童センター位のもので、誠に少数である。
児童館の機能を十分に発揮するためには、中央に、特別の施設を有する児童センターを別格として、やはり小地域単位に小型児童館の建設が最も有効であろう。
石下町においては、義務教育としての小・中学校の整備がやや一段落した今日においては、次期の事業として児童館の建設を考慮すべきであろう。
農地整備、圃場整理事業に関連して、各地に児童公園が誕生したが、いつも閑散な様相を見るにつけ、その一角に遊具を備えただけでは魅力に欠けるため、有効な使用には至らないのではなかろうか。なおその一角に児童館でも建設されるならば、意義ある施設と化するであろう。
児童館には、中心施設として集会室、遊戯室、図書室等を備えなければならないが、図書室にしても、学校図書室のミニ版化しては意味が少なくなるので、各地の児童館に、それぞれに特色を持たせて運営されれば、興味と実益のある運営が生れると思われる。