では次のフランス戦での日本代表は、ウェールズ、スコットランドの2戦に比べてどうだっただろう。テストマッチのスコアは16-55。後半の反撃で日本代表が1トライ、ゴールをあげたのが好印象となったのか、日本協会強化委員日比野弘は観戦記の冒頭で「いい試合であった。日本代表は精一杯闘ってくれたと思う。勝たねばならぬテストマッチ。その責任の一端を担う強化委員の発言としては甘いという指摘もあろう。だが、私はこの試合に将来への明るい期待を確信した」(日本協会機関誌)と日本代表にエールを送っている。ただ、このフランス代表とのシリーズ第2戦で日本選抜を率いた監督岡仁詩は、試合後のレポートを「悔しいけれども、スクラムの強さ、モールの威力、バックスの素晴らしいスピードとハンドリングを披露してくれたフランスの選手団に頭を下げる」(日本協会機関誌から)と、5カ国対抗でもまれてきたフランス代表の華麗でスピード豊かなシャンパンラグビーの底力に脱帽することで文章を閉じている。日比野弘、岡仁詩ともに日本協会の強化面の重鎮。そして日比野弘は強化委員としてチームを離れて日本代表の試合内容を、また岡仁詩は日本選抜監督として自チームの対戦結果に責任を持つ立場と、条件はまったく異なるわけだが、それにしても試合に対する評価、結果の受け止め方が立場の違いでこんなにも違ってくるものなのか、と驚かされる。
【フランス代表日本ツアー戦績(1978年9月)】
①9月14日(国立=ナイトゲーム)
●日本選抜10-61フランス代表○
②9月17日(花園)
●日本選抜18-90フランス代表○
③9月20日(平和台)
●九州代表3‐37フランス代表○
④9月23日(国立=テストマッチ)
●日本代表16-55フランス代表○
【日本代表対戦メンバー】