日本代表の中長期に渡る強化策としてATQプログラムの実施を決定した。(ATQとはAdvanceToTheQuarterfinal=「準々決勝進出」の意=の略)。世界の強豪を打ち破るには過去諸々と策を費やしてきたが、有効的なものはなかなか得られないでいる。しかし、何らかの策を行わなければ
日本のラグビーは衰退してしまう。よって、これらの状況を前向きに変えるプロジェクトとしてATQの実施を試みる事とした。
全てのラグビー関係者の一般的常識として
日本代表が世界の強豪と肩を並べて活躍することを夢みている。その実現のために大きな期待が寄せられている。誰もが以下のことを考える。
「
日本代表チームが強くならなければ、国際的認知度もあがらず国際交流も促進されない(対等な付き合いができない)。国内におけるラグビーの人気もあがらない(普及しない)。観客も増えない(収益はあがらない)。そして2005年から進めている「ラグビー
ワールドカップ
日本招致も成功しない」とし、「
日本ラグビー発展の鍵は、ジャパン(
日本代表チーム)が強くなることにある」これが偽ざる本音である。
2006年6月、理事会は、
日本代表チームを長期にわたり本格的に強化することを決意し、競技力向上委員会に、中長期にわたる
日本代表チームの抜本的強化計画の策定を指示した。
技術委員会(競技力向上委員会の前身)時代から考えていたプランを練り直し、
ワールドカップでのベスト8進出を目標とした「ATQプログラムAdvancetotheQuarterfinal」を理事会に下記の内容のプロジェクトを提出した。
このプランは、次代を担うエリートを発掘し徹底的に育成しようとする包括的な中長期競技力向上プランであり、2011年RWCでの成果を目的としたプログラム(ATQターゲット2011)と、2015年RWCとそれ以降の成果を目指したプログラム(ATQターゲット2015)の2つによって構成されている。
このプログラムが、これまで
日本協会で行われてきた有望選手育成の取り組みと大きく異なっている点は海外での「実技体験と語学の習得」を目的とし、海外強豪国のエリート育成拠点と契約を結び「海外強化拠点(豪州・ニューサウス
ウェールズ及び
ニュージーランド・ワイカト)」を設けた。そこで一定期間継続して育てようと計画されている。そのため、この計画には、所属先との契約、留学制度、具体的選手育成プログラム(心技体にわたるトレーニングマニュアルなど)の開発、コーチングディレクター・発掘マネージャー・事業推進マネージャーなどの専任化などが盛り込まれている。特に、2015年以降の成果を目的とした「ターゲット2011プログラム」には、他競技から、あるいは現在特定の種目に本格的に取り組んでいない子供達の中からも将来世界の舞台で活躍できる可能性のある逸材を見つけ、リクルートすることも計画されている。
このプランでは「国外のトップレベルの舞台(スーパー14もしくはヨーロッパリーグなど)で活躍できる(
日本人)選手や指導者、レフリーを育てないかぎり、ジャパンが世界のベスト8に進出することは有り得ない」と述べ、併せて、このプラン実行の条件として「継続できる事業とすること(事業継続の保障)」「会長もしくは専務理事直轄事業とすること(協会保証)」「明確な財源を確保すること(財源保障)」「優秀なフルタイムスタッフを配置し、裁量権を明確に与えること(責任保障)」「国の機関(たとえばNTC)を利用し、連携すること(国家保障)」「国際機関(IRBあるいはARU、NZRUなど)の協力を得、連携すること(国際連携)」「怪我の保障を充実させること(社会的補償)」「自己責任を明確にしつつ、将来保障を充実させること(生活保障)」「保護者の理解を得ること(保護者理解)」「所属先の理解と協力、連携を充実させること(所属先連携)」などをあげ、このプランは
日本協会あげての重大事業と位置づけた。